塾長ブログ

塾長ブログ

blog

ほめること一考

2016.06.21 塾長ブログ

週に1~2日ですが、24時間ファスティング(断食)を始めてみました。1日1食(私は夕食)にするだけです。2か月ほどしかたっていませんので、本(4,5冊に目を通しました)に書かれているような効果は実感できませんが、体重がいい感じでコントロールできていることは確かです。次回の血液検査の結果をひそかに楽しみにしています(興味ある方は、三浦直樹『週1断食で万病が治る』マキノ出版)。

ここ30年ほど、家庭でも学校現場でも「ほめて育てる」ということが当たり前のように強調されてきました。ほめることによって子どもは自己肯定感が高まり、あらゆる対象に積極的に取り組み、学習意欲も高く、大人になってからも有意義な生活が送れる、等々、こうした言質が繰り返されています。

ところが、日本・アメリカ、中国・韓国の4か国の高校生を対象とした意識調査の結果を見ると、「ほめて育てる」ことと自己肯定感の関係性に疑問符を打たざるを得なくなりました。「自分はダメな人間だ」について、「よくあてはまる」と回答した日本の高校生の比率は、1980年が12.9%、2002年が30.4%、そして2011年が36%と30年で3倍にまで膨れ上がっているのです。いずれの比率も他の3か国に比べ最下位です。日本式の「ほめて育てる」は成功していないようです。

成功していないばかりか、「ほめて育てる」というスローガンに内容が伴わず言葉だけが独り歩きしてしまったため、「子どもを叱れない親」や「友達親子」といった“ただやさしい親”が大量生産され、結果、「傷つきやすい子」とか「自立性のない子」など内向きな子どもたちが増えた、こんな指摘さえなされるようになりました。ここから、教育心理学者たちが客観的なデーターを求め、様々な調査に乗り出します。

1つだけご紹介します。コロンビア大学のミューラー教授は、10~12歳の小学生を対象に「ほめ方」による効果の違いを見る実験を行いました。算数パズルをテストし、そのテスト後に「みな優秀な成績だった」とほめ、Aクラスにはさらに、「こんなに成績が良いのは、君たちの頭がよい証拠だ」と伝え、Bクラスでは、特に何も伝えず、Cクラスには「こんなに成績が良いのは、君たちが一生懸命頑張ったからだ」と伝えました。Aを「能力クラス」、Cを「努力クラス」と名付けておきましょう。次に、新たに2種類のテストを用意し、1つは易しめのテスト、もう1つは難しいテストです。どちらでも好きなほうを選択させたのですが、Aの「能力クラス」の67%が易しいテストを選び、Bは半々、Cの「努力クラス」のなんと92%もの生徒が難しいほうのテストを選んだのです。

つまり、頭の良さをほめられた子どもと、努力をほめられた子どもでは、その後の行動様式が正反対になるということです。頭の良さを評価されてきた子は、頭の悪さを見せたくないので、易しいテストを選択し、一方、努力をほめられた子は、努力の大切さを自覚するようになり、新たなものにチャレンジする積極性が身に付きます。さらには、頭の良さをほめられた子は、成績が良くなかった時、その原因を自分の努力不足とは考えず、能力のなさや親からの遺伝子のせいにするかもしれません。

“能力ではなく、子どもの努力そのものをほめなさい!” この実験から得られた結論です。「ウエルちゃんは、やればもっと成績が上がるのに」といった親の励まし?諦め?もダメですね。子どもは「僕は努力できない怠け者」と否定的に理解してしまうことになります。

私もこれまで何度となくほめることについて書いてきましたが、ほめ上手な教師や親はいわゆる「ほめるTPO」をわきまえています。子どもの努力したことの何を・いつ・どんな場面で・どんな言葉や身振りでほめるのか。ただやみくもに行き当たりばったりでほめるのは、逆効果です。まちがっても、「ぼくは人からほめられて伸びるタイプなんです」と恥ずかしげもなく言い放つ若者にしてはいけませんね。

 

※中学・高校部   『夏期講習』 7月21日(木)から8月5日(金) 《全12日》
※全学年  『8月集中授業』 8月21日(日)から31日(水) 《全9日間》
※小学部の夏休み  7月21日(木)から8月20日(土)

menu