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ダラシナ系の子

2014.06.18 塾長ブログ

さて、今月はダラシナ系の子を考えてみます。あえて「だらしない子」としないことには理由があります。それは「だらしない」という言葉には、どことなく全人格を否定してしまうようなニュアンスがあるからです。「あいつは金にだらしない」イコール「あらゆる面で信用のおけないダメな人間だ」といった具合に。子どもの人格が全否定されては、立つ瀬が無くなります。

 6月第1週の金曜日、男子中学生2名に強く迫り、塾を替えることをすすめました。

 A君、この3週間で宿題忘れ2回、当日は数学のテキストを忘れました。ウエルでは宿題やテスト日など大切な連絡事項は、必ず(口頭ではなく)板書し、連絡帳に書かせます。それでも、A君は忘れてしまう。成績は上位に位置しています。興味深いのは、今週にかけて数学のテキストをバッグから出す必要性はまったくなく、またバッグを新しいものに替えたわけでもなく、でもなぜか忘れる。不思議ですね。さらに興味深いのは、宿題忘れを繰り返しているという自覚が本人にはないことです。鈍感というか、自分の行動が把握できていないというか、ダラシナ系を考えるうえでキーになりそうです。

 あの強い雨の中、家に取りに行かせました。本人に反省の色は薄く、私に対するうらみも感じられません。「先生、家で探したのですが、見つかりませんでした。」とのオチまでつけてくれました。どこまでダラシナ系だ!

 B君は、宿題・テスト勉強忘れのKING。過去にズル休み経験もあり。でも、憎めない心優しいイイヤツ。何度も退塾勧告を受けるも、反省のフリを何度も繰り返しながら通いつづけています。この3週間で、宿題忘れ2回、当日は毎週やっている小テストの勉強をやってこなかった。

 やるべき作業はすべて連絡帳に書いてあるのに、それを前日でも、当日でも『確認する』という行為が抜け落ちてしまうのです。毎回何らかの課題が出るということがわかっているにもかかわらず。困ったものです。翌日来室し、再テストで満点を取り、「・・・心をいれかえて、やりなおしていきます。今後、また宿題忘れがあった場合は、塾をやめます。・・・」との誓約書(?)をしたためて帰宅していきました。私に何度も注意されてきた成果なのか、いっさいの言い訳はしなくなりました。

 私は昔から、言い訳する人間が生理的にダメです。時間、お金にだらしない人ともいっさい付き合いません。小学生でさえ、明らかな言い訳をするとかなりきつく私に叱られます。「なぜ宿題をやってこなかった?」「きのうおばあちゃんの家に行っていたから。」平気でこんな言い訳をする子どもにしてはいけません。先日も中学生と。「なぜ遅刻した?」「雨が降って、歩いてきたから」これもダメですね。早く家を出ればいいだけのことですから。言い訳をすると人間が卑屈になります。心が濁ります。子どもの話はじっくり最後まで聴かなければなりません。しかし、言い訳がましいことを言ってきたら、きっちり注意する。子どもの将来のためです。

 私は職人の子ですから、嫌でもその気質を受け継いでしまっているのかもしれません。私は好きなお客さんにだけ私の教育技術を買って頂きます。気に入らなかったり、私のやり方に背くようであれば、即刻辞めて頂きます。これは生徒個人の学習能力や成績とは無関係です。例えば、今年の中3生の中には、成績が振るわない生徒がいますが、義務感を持って作業に取り組んでいます。1回のテストの範囲が広すぎれば、2回に分けてやればよいのです(実際そうしています)。これでOKです。能力的にいたらなくても、必死さや義務感があればいいのです。私はこれを評価するのです。

 最後に、ダラシナ系の子について思うことを3点ほどまとめてみます。

 まず第1点は、矛盾するような言い方になりますが、日常生活面においてはダラシナ系で結構です。アバウト、いい加減、不精、ものぐさ・・・、NO PROBLEM! 几帳面なお母さんには耐えられないかもしれませんが、人との約束、社会のルール、マナーなどに反することでなければ見逃して下さい。社会では、ダラシナ系のやつの方が出世していたり、大きな仕事をしていたりもします。

 第2点は、ダラシナ系の子は、だらしない行為をしても、宿題などを忘れてもそれが許される環境にいた、ということが考えられます。親自身がダラシナ系であったり、子を放任したり、逆に過干渉・過保護に関わってきたことなどが挙げられます。困った事に、子は親の欠点や短所を引き継いでしまうものです。また、内閣府のある調査結果には、「幼少期における親の無関心や放任的な態度が子どもの『だらしなさ』を生んでいる」との一文もあります。ダラシナ系の子というのは、親自身の反省材料でもあるのです。

 第3点は、特に宿題やテスト勉強をさぼる・忘れる傾向の強い子は、学校や塾での意欲や関心が低下していることがまず考えられます。「別に忘れてもいいや」「先生に叱られても気にしない」、こうした後ろ向きで無気力な言動が頻繁に出てきたら危険信号です。ダラシナ系どころの話ではなく、学校(塾)不適応、学習性無力感といった別次元の問題となります。

 要は、子どもの『自己管理能力』の育成という課題に行きつきます。詳論する余裕はありませんが、教育心理学では、自己管理能力を高めていく上で次の3点が強調されます。

  ①子どもに自己存在感を与える。

  ②共感的人間関係を育成する。

  ③自己決定の場を与え、自己の可能性の開発を援助する。

 難しい話はここまで。1日1回、我が子に『愛情ビーム』を浴びせかけること! しつけや叱責などは、そのあとの話です。「親に愛されているなー」という実感こそが、自己存在感であり、共感的人間関係そのものです。

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