塾長ブログ

塾長ブログ

blog

七歳までは神のうち~丹精込めて育てましょう~

2022.11.03 塾長ブログ

さて、話は江戸時代。

人びとはよく「七歳までは神のうち」と言葉にしたそうです。

七歳までは神の子、といった内容の諺が全国的に流布しています。

当時は乳幼児の死亡率が極めて高く、「いとも簡単に神のもとへ連れ去られてしまうものだ」という大人たちの嘆きから生じた諦めの言葉とされています(中江克己『江戸の躾と子育て』祥伝社新書)。

七歳までは神様の子。

「我が子」ではない。

神に代わって大切に、丹精込めて育てる。
親の勝手やエゴは許されない。
神に背いたことをすると、神の怒りをかい、子どもは神の世界に連れ戻されてしまう。

そして無事七歳を迎えると神の許しののち、初めて家族の、共同体の一員となる。

民族学的なストーリーとして、とてもおもしろいですね。

産湯、お七夜、お宮参り、お食い初め、初節句、誕生祝い、そして七五三。

子どもが神様に奪われないよう、節目節目で、子どもの健康と成長をお祝いしたのです。

 子どもは「授かりもの」とも言います。神仏からの賜るのです。
「神のうち」と共通した子ども観すね。

親の無知やエゴを戒め、謙虚な姿勢で子どもと向き合いなさいという教えです。私たちも大切にしていきましょう。

 一方、この「七歳までは神のうち」という考え方が、子殺し(堕胎や間引き)の口実、免罪符になっていたとの報告もあります。

貧困のため口減らししなければならない、生まれつき病気や障害があるなどの理由で、間引きの風習が存在していたことは事実です。

この風習、悲しい文化を下支えしていたのが、「七歳までは神のうち」なのです。

苦しみの末、親はお祈りします。
「お預かりした命ですが、育てていくことができません。神様にお返しいたします」と。

このお祈りひとつで間引きの罪悪感が軽減されるのです。
親の深く傷ついた心を救うための文化的な装置でもあったようです。

今日もまたお読みいただきありがとうございます。
 

今日、11月3日は「文化の日」。
公民を勉強している中学3年生には、なじみがある日。
そう、1946年、日本国憲法が公布された日。「自由と平和を愛し、文化をすすめる日」とされています。

もっとさかのぼった説明もします。
11月3日は、戦前まで「明治天皇の誕生日」だったと。
天皇への思いから離れられなかった当時の為政者たちの固執、文化の日に引き継がれることになりました。

menu