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”先生 不人気”問題~公立の先生を守ろう~

2022.09.10 塾長ブログ

小学4年からずっと途切れることなく通い続けてくれるS子さん。あれから9年が経ち、大学受験をむかえる高校3年生に。授業日以外にも来室して、コツコツ、コツコツ、着実な歩みを重ねています。

本人の夢は小学時代から一貫していて、小学校の先生になること。地域のジュニア・リーダーを8年間も務め上げ(この貢献度もすばらしい!)、“子どもたちに信頼されるリーダー”のお手本といってよいでしょう。

どんな人にも優しい、明るい、屈託ない、まじめ、努力家……といくつものほめ言葉が並べられる好青年です。国立学芸大学の理科を第1希望にしています。理科を得意とする小学校教員は極めて少なく、重宝されること間違いありません。彼女が教員になる頃には、理科専門の先生として、高学年の全クラスの理科を担当するようになるかもしれません。S子さんは小学校で担任をもちたいようなので、理科の専科だとどうでしょうか。

社会人になった教え子たちにあえて掛けなくなった言葉、「がんばって」。
数年前、商社に勤めて3年目になる教え子から連絡があり、ランチをしました。そこでの2年間の働き方を聞き、「がんばって」という励ましどころか、反対に「そこまで酷使してはだめだろう」とストップをかけたくなるありさま。わたしと会う数週間前から、長期の休養に入っていました。

これ以来、社会人に「がんばって」は封印です。かわって、いかにその場から自分の心とからだが最小限の損傷で済むか、いっしょに考えるようになりました。

S子さんも重宝されるのはいいですが、親心丸出しですが、一言、心配です。

5~6月に行われた岩手県での教職員の実態調査。超過勤務は月45時間が上限のところ、それを超えた教員は約9割。過労死ラインとされる80時間を超える教員が4割以上。

同時期に連合のシンクタンクが行った調査では、公立学校教員の残業時間が、1か月当たり平均123時間というとんでもない結果が出ました。1日の在校時間が11時間21分、自宅での仕事時間46分、休日の労働時間3時間24分、合計で月の時間外労働は123時間16分となりました。気になるのは、教員の1割以上が、管理職から「実際より短い在校時間の報告の要請」を受けたと答えています。これって、先生方に虚偽の報告をしろということですね。虚偽報告? 旧○○協会への関与のアンケート(自己点検!?)ではあるまいし。

過重労働の問題も、虚偽報告も、純粋な政治の問題です。政府与党の怠慢は見逃せません。
「働き方改革」、公立の先生方には全くといってよいほど貫徹されていません。公立学校は、先生方の犠牲の上に成り立っているのです(休職、退職、精神疾患などについては別の機会に)。

当然、“先生人気”は下降の一途をたどります。文科省は今月、今年度に採用された公立学校教員の採用倍率を発表しました。小学校は2.5倍と3年連続で過去最低を更新。高校は5.4倍で過去2番目、中学校は4.7倍で過去3番目の低さ。

先生人気が下がることは、教育の質の低下を示唆します。

学力世界1位、フィンランドをもち出すまでもなく、教育に、子どもに、先生に最大限の投資をすることによって、教育レベルも、学力も、その先の国の経済も発展していく、1つの社会法則になっているのですが、残念ながら、日本は対応しきれていませんね。

本日もお読みいただきありがとうございます。

忘れていました。そう、今日は中秋の名月。あと1時間もするときれいな満月が。

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