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区立中学の「越境入学」について思うこと

2014.10.15 塾長ブログ

この時期、毎年のように皆様からご相談を受けること、それは区立中学のいわゆる「越境入学」についてです。この場を使って、私の考えを率直に述べておきたいと思います。

「地元の中学が荒れているようなので、A中に申し込みをしようと思うのですが」「地元の中学の勉強レベルに不安があるので、B中にしようかと……」「C中は何となく気が進まないので、D中にしようかと……」、等々。

この東向島に開塾して、25年ほど経ちました。地元の中学はもちろんのこと、他の中学も見てきました。ちなみに今年度の在塾生の中学校名を列挙しますと、本中、忍丘中、墨中、文花中、錦糸中、寺中、桜堤中、四ツ木中、青戸中、吾嬬二中、両中の11の中学です。

区立中学の選択に関する私の考えは一貫していて、『特別な理由のない限り、地元の中学へ』ということになります。特別な理由とは、例えば部活、例えば友達やいじめなど。特殊事情のない限り、地元の中学で何の問題もありません。

 

第1の理由として、A中やB中が人気のようですが、私から見て何の魅力もメリットも感じられません。同じ区立中学です。優越性はありません。良い先生が多く集まるなどということもありません(良い先生がいても、3~5年で移動です)。手厚い指導をしてくれることもありません。正直なところ、何ゆえに越境などさせるのか、私にはわかりません。単に親の見栄や格好つけではないでしょうか。

第2の理由、それは地元中学の「良くないうわさ」。中学に“あたり・はずれ”があるとすれば、それは「中学」そのものではなく、「担任」や「部活」に他なりません。どこの中学に入学しようと、自分に合う担任・部活に出会えればハッピーだし、そうでなければ越境も無駄になります。どこの中学も良くないうわさはつきものです。私の見るところ、お母さん方の間にはびこるうわさのほとんどは事実無根です。直接在校生の何人かに確かめてみると、ほとんどはねじ曲げられたウソのうわさか、誇張か、事実だとしても子ども達に負の影響を与えるものではないことに気づかされます。

第3の理由、それは子どもは地元で育ち、地元の友達とつるむのが一番なことです。地域共同体という言葉が聞かれなくなって久しいのですが、しかし、通学区である地元や地域をおもんぱかる子どもになってもらいたいと思います。

第4の理由、塾長として最も重視していることなのですが、体力に劣る子、学力に不安を伴う子は、決して越境させてはいけません。越境のデメリットは、①交通費がかかる。 ②起床時間が早く、睡眠時間も少なくなり、疲労感が抜けない。 ③部活後の帰宅時間が遅く、塾に間に合わなくなる。学力の低い子はウエルの授業に不適応を起こし、結果、成績が低下する。

授業ついてこられなくなったり、課題がこなしきれず、塾を去るケースも出てきます。私も越境組の生徒に関しては、“去る者追わず”のスタイルで、引き留めることはしません。理由は、補習をしてあげる時間的な余裕が確保できないからです。

芯のしっかりした子は、どこの中学に行っても自分を発揮します。甘ったるい子は、どこの中学に入学しても甘ったるいままで、何のメリットも受け取ることができません。人より疲れ、交通費を無駄にし、ウエルを生かしきれないで終わってしまう。

要は、学校環境ではないと言うことを申し上げたい。

 

成績は ≪遺伝×環境×子どもの主体性≫、この3要因の複合で決定されるといたしましょう。注目すべきは「子どもの主体性」。厳しい言い方になってしまいますが、「子どもの主体性は、日常の親子の関係性から育まれる」、こうした親側の謙虚で、自己反省的な視点を忘れてはならないと思います。越境よりも、親としての自分を振り返ってみましょう。親自らも、自己成長を遂げなければならないと考えています。教育とはまさに、子と親の相互の関係性によって共に育つ『共育』に他なりません。

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