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名門パブリックスクールが日本に。

2022.09.12 塾長ブログ

いやいや、とんでもない学校が岩手県、安比高原に開校しました。
校名は「Harrow International School Appi(ハロウ インターナショナル スクール 安比ジャパン)」、イギリスの名門パブリックスクール(私立校)の系列校です。教育は英国式で、授業は英語で行われます。7~13年生(小学6年生~高校3年生)が対象の、全寮制の一貫校です。そう、ハリーポッターをイメージすればよいのでしょうか。

地元企業が誘致して、自治体も補助金を出すとのことです。今後は医療機関や商業施設も誘致して、安比全体を知名度ある国際的なブランド都市にしようと、県知事も積極的です。

「とんでもない」というのは、あのイギリスの名門私立9校「The Nine」のひとつが日本にやってきた驚きと同時に、1年間の学費が……。学年によって異なりますが、寮費も入れて850万~930 万。サマースクールの費用を入れると1000万。小学6年から入学すれば、卒業までの7年間で7000万円也。今のところ日本人が50%、中国人が30%、残り20%はシンガポール他、様々な国から生徒が来るとのことでした。初年度の今年は180名が入学し、数年かけて900名にまでもっていくそうです。

最終的には世界のトップ大学(英国ハロウスクールでは多くがケンブリッジ大学とオックスフォード大学)への進学を目指しますが、部活動やボランティア活動にも多くの時間を当てているようです。

来年には柏市の千葉大学のキャンパス内にやはり「The Nine」の1校であるラグビーが開校します。なぜ、いま日本に?という疑問がわきます。「もともと英国系のインターが不足し、日本に駐在した際に通わせる学校がないことにイギリス人が困っていたこと。これに加えてEU離脱の議論が始まった頃からイギリスが国家戦略として教育輸出を進めてきた経緯があります。」(PRESIDENT Onlineより)

首相が代わったばかりのイギリス。難題累積で、かじ取りが難しそうですね。まず、40年ぶりの厳しいインフレーション。そして、EU離脱にまつわる国民間の分断。さらに、すさまじいほどの格差の拡大による貧困問題。それと連動した教育格差問題。

あっという間に読み終えてしまう傑作『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』(ブレイディみかこ 新潮社 2019年)にはこんな文面がみられます。

「サッチャー時代でもこんなひどくはなかった」「制服を買えない生徒が大勢いるよ。」「小さい子どもたちは『お金がないから買えない』って言えるけど、中学生になると一生懸命に隠すようになる。だから、お臍が見えそうになったポロシャツを着ている子にそっと新品を買って渡したり、ファスナーが閉まらなくなっているスカートを毎日はいてくる子にお金をあげたり、そういうことを教員がやり始めた。」「女性教員の中には、生理用品を大量に買って女生徒に配っている人もいる。私服を持っていないから私服参加の学校行事に必ず休む子もいて、スーパーでシャツとジーンズを買ってあげたこともあった」「貧困地区にある学校は、子どもたちの生活というか基本的な衣食住から面倒を見なければいけない」(103頁~104頁)

“学校に持っていく弁当がなくて、お昼は水を飲んで、裏庭でひとりしょんぼりしていたよ”、年配者からの回顧談が思い起こされます。日本の子どもたちの相対的貧困率は、先進国の中で高い位置にありますが、イギリスの下層に位置づけられる人たちとは貧困の質が異なります。

実は、日本にもハロウスクール開校に先んじた学校があります。
2006年に開校した私立男子中高一貫校「海陽中等教育学校」(愛知県蒲郡市)です。やはり「The Nine」のひとつ「イートン校」をモデルにした全寮制の進学校です。興味深いのは、出資母体がトヨタ、JR、中部電力をはじめとする大企業なのです。おまけに、と言っては何ですが、自民党の長老たちのほとんどがメンバーに加わっている日本会議も一翼をなしています。初年度納入金はやはり高額で、360万ほどかかるそうです。

進学校として見た時、卒業生85名中、東大4名、京大1名と報告されています。ガチガチの進学校というわけではないですね。あの筑駒は、卒業生160名中、90名前後が東大に入っていますから。
さて、ハロウスクールです。「親ガチャ」の最たるものですね。わたしも一人の親として、羨望というか(妬み(そねみ)?)というか、まさしく、富裕層による富裕層のための学校です。いち市民のわたしには何ら批評したり批判したりすることはありません。ただただ1点だけお願いしたいことがあります。

教育の価値として、個々人の成長や人生上の資源の獲得という面とともに、社会への還元、貢献という面があります。

後者、すなわち7年にわたるスクールで得た経験や果実をどうか社会のために、弱者のために生かしていただきたい。自らの利益より、他者の利益、弱者の利益を優先する哲学を持ち続けてもらいたい。
こんな願いをもって、今回のブログとします。

いつも駄文にもかかわらず読んでいただきありがとうございます。

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