国が壊れかけています。あのおバカ総理の傲慢さと反知性が、私たちの国と生活を崩壊へと導いています。近畿財務局で改ざんに加わった(加わざるを得なかった)職員が自死しました。「自分の常識が壊された」と親族に漏らしていたそうです。“権力による殺人”、こんな言葉が浮かび上がってきます。
夜回り先生として知られる水谷修氏の最新本『「考える力」を磨く社会科ゼミナール 少数異見』(日本評論社 55頁)にこんな記述があります。
「数年前ですが、現職の総理大臣と面談する機会がありました。私は総理に『今、多くの日本の子どもたちが、朝食や夕食をきちんと食べることができず、カップ麺などのインスタント食品で命をつないでいる』と話しました。その時の総理の発言に驚きました。『そんなにインスタント食品はおいしいのかね』すぐに秘書官が訂正してくれましたが……。とても恵まれた環境で育ったであろうこの人は、貧しいということと、貧しさの本質を理解できない。そう感じ、この人が総理をしていることに腹が立ちました。」
日本の子どもの貧困(相対的貧困率=13.9% 7人に一人)がこれほどまでにクローズアップされているにもかかわらず、「この人」は“インスタント食品”の裏に隠されている社会事象がまったくイメージできないでいる。情けないですね。笑えぬ笑い話になってしまいました。
お母さん早く約束果たしてよ!(高校生 多賀 咲 東京都 17) 朝日新聞4/14付
「一緒にディズニーランドへ行こう」と約束した日のことは今でも忘れない。小学3年生の時、
母は毎日忙しく、二人きりで出かけることは奇跡に等しかった。眠れないほど楽しみにしていた。
しかし、約束は破られた。兄がインフルエンザにかかり、「行けない」と言われたのだ。また兄に
母をとられたという怒りと行けない悲しさをコントロールできず、自分でも驚くほど泣いた。当時、
父が店を始め、母は手伝いに行くようになった。父にも母をとられるようになり、その分も泣いた。
今考えれば仕方ないことと思えるが、当時の私には最大の裏切りだった。(中略)いまだディズ
ニーランドに行けていないが、約束は守るためにするものだと思う。お母さん、早く行こうよ!
いきなり何でこのような投書を?!
この数年生徒を見ていて感じることのひとつが、母親への欲求不満というか、愛情飢餓というか、男女の区別なく感じられます。特に時間に追われているお母さん、そして理路整然と会話するお母さん、そうしたお母さんの子どもに多い。
投書した咲さんは「母をとられた」と表現しています。仕事や兄そして父親に母をとられたのです。その結果、母親に甘えたくても甘えられなくなってしまいました。甘えたいときに母はいない。子どもにとってとても寂しいこと。この寂しさはやがては親への反抗、反乱となって現象化することも。咲さんは「最大の裏切り」、中略の中では「悲しみと屈辱」といった強い言葉をあえて使っています。約束を破ったことに対する表現であると同時に、母親に十分甘えることができなかったことに対するプロテスト(抗議)とも考えられるのです。
甘え(ギューしてもらうこと、話をじっくり聞いてもらうこと、自分の欠点や短所を受け入れてもらうこと、あるがままの自分を承認してもらうこと、笑顔で自分を見つめてくれること、無条件で愛してもらえていること等々)は子どもであろうが、大人であろうが生きていくためのエネルギー源に他なりません。
残念なことには、子どもは母親の多忙さを甘えの“敵”ととらえてしまいます。
頭ではお母さんの大変さや仕事について理解しているつもりなのですが、甘えたいという自然欲求は抑えることはできません。抑圧された甘えは、やがて反抗的、逸脱的な行動に走らせることがあります。例えば、日常的な面では、だらしない、うそをつく、主体性が育たない、反抗心が強い等々。
理路整然と会話するお母さんも、時として子どもの甘えたい気持ちをそいでしまうことがあります。“理”ではなくて、“情”に飢えていることに気づいてあげましょう。
例えば、「そんな事、いちいち言われなくてもわかっている!」といった反抗的なことば。親は甘えへの欲求と理解できなければなりません。わが子の落ち度や負の行動を理詰めで攻め、追い込むことの非生産性を認識すべきです。
子どもは自らのふがいなさや思うように自分をコントロールできない弱さに対し、その弱さを親に甘えることでわかってもらいたいのです。
甘える対象をもっている人は強く、また健全に生きていくことができます。何歳になろうと、「健康で素直な甘え」は精神衛生上、人格形成上、必須です。夫は妻に妻は夫に。そして自分の父母に。“理よりも情を優先する”という視点を忘れずにわが子と接していただきたいと思います。“情”が伝わりあっている親子にとって、“理”の問題など容易にクリアーできるものです。
ついでに「長男・長女病」について。
親はどうしても下の子ばかりをかわいがります。そのつもりがなくとも、上の子はいつもそう感じとっています。「お兄ちゃん・お姉ちゃんだから」ということで‘がまん’を強いられます。中学生であろうが、高校生であろうがいや大学生であろうが、長男・長女は愛情飢餓の中に放り出されることが度々あります。
何歳になっても子どもは親に甘えたいのです。甘えは生きていく上でのエネルギー源です。時には下の子は父親(母親)にでも任せて、二人きりでお出かけしましょう。遠くなってしまった距離をぐーんと縮めてください。「いつも妹(弟)のことばっかりでごめんね。でもいつでも○○ちゃんのことを見守っている。何かあったらすぐにでも言ってきてね。」と一言添えて。
お父さんもお母さんも毎日お疲れのことと思います。限られた時間のなかで、わが子への無条件の愛情を言葉で、そして行動で示していきましょう!!
さて、話題を変えます。
小学校では2020年度、中学では21年度から新しい学習指導要領が実施され、「アクティブラーニング」が取り入れられます。どの教科も知識を増やすことよりも、「考える」ことを重視した内容のものになってきます。英語ではスピーキングにも力点が置かれるようになります。大学入試もセンター試験に代わり、「大学入学共通テスト」が始まり、あらゆる教科で記述式の問題が採用されることになりました。自分の言葉で書かせることで、思考力・判断力・表現力を問うことになります。大学入試のあり方があらゆる教育関係の施策に影響を与えることになりますので、中学入試や高校入試も「暗記重視」から「考え・記述する」方向にシフトされることでしょう。
昨年実施された試行テスト(国語)の一部が新聞に掲載されました。早速解いてみたのですが、問題量が多く、時間内で完答できる高校生は少ないであろうというのが感想です。特に資料4点と会話文を読み込み80字から120字で記述する問題はかなり難解で、何と正答率は0.7%ということでした。数学も3題ほど記述式の問題が出題されましたが、正答率は3題とも10%以下でした。記述式問題の難易度や採点上のブレなどまだまだ課題は山積み状態です。時期尚早なのです。
都立高校の入試問題にはすでに記述式が採用されています。毎年頭を痛めるのが国語の200字作文です。「国語の授業でこの文章を呼んだ後、『○○』というテーマで自分の意見を発表することになった。このときにあなたが話す言葉を具体的な体験や見聞も含めて200字で書け。」というものです。
また都立の推薦入試の論文では、「(野口悠紀雄の「知の進化論」の一部を読んだ上で)あなたは「知識の価値」はこれからどうなっていくと思いますか。本文をふまえて、あなたの考えを300字以上360字以内で論じなさい。」(2018年 立川高校より)
いかがでしょうか。知識人が書いた論文を読み、その要旨を理解したうえで自分の考えを論理的に記述する、苦手な子はまったく筆が進みません。
①小学校時代からの読書習慣 ②ご家庭内における社会的な問題に対する関心度 ③親子間の会話の量と質 ぜひこの機会にこうした点について振り返っていただけたらと思います。
ウエルでは4月から、小学生に対し新教材として『公立中高一貫対策 合格への道 作文編』を取り入れ、作文や論文の書き方についても指導していきます。
中学2・3年生には、『14歳の君へ~どう考えどう生きるか』(池田晶子 毎日新聞社)の要約と意見を毎週の課題にしています。結構時間のかかる作業です。新学年が始まりました。緊張感をもって指導に当たります。
※先月お知らせした日程で個人面談が行われています。お会いできること、楽しみにしています。
※ゴールデンウィーク 4/29(日)から5/6(日)まで全休(休塾)となります。
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