12月5日(土)、恒例のクリスマスコンサートを開きました。
バイオリン、チェロ、電子ピアノの生演奏に生徒達は終始圧倒され、瞳を見開いて聞き惚れていました。今年の参加者は36名。手前の教室は、立錐の余地もなかったのですが、密着した状況に、かえって心なごませることができたようです。
そうそう、ほっかほっかのおまんじゅうを食べた後の余興もすばらしかった。高3のSさんが、ヒップホップというジャンルなのでしょうか、かなりハードで色っぽいダンスを披露してくれました。彼女の通う竹早高校のダンス部は、都立にもかかわらず、昨年全国大会に出場しています。立派なものです。ヒップホップ系のダンスが好きな子は、竹早においで! ということです。
またもamazonの誘いに乗ってしまい、批判的精神を刺激されるこんな本を買ってしまいました。帯の宣伝文まで書いておきます。「京都大学名誉教授 久保田競 脳科学おばあちゃん 久保田カヨ子『赤ちゃん教育~頭のいい子は歩くまでに決まる~』0歳からの伝説の育児バイブル! 20年で3000人の赤ちゃんを変えた信頼と実績のクボタメソッドで、勉強ができて、心の強い子が育つ」
帯を読んだだけで、もう胡散臭い!「3000人の赤ちゃんを変えた」ってどういうこと? 変わる前はどうで、どう変わったの? その科学的なエビデンス(証拠)はあるの? 本書を読む限り、残念ながら何ひとつありません。
脳科学おばあちゃんも怪しげな教育産業と同様に、早期教育の優越性を謳う常とう句を並べ立てます。
「0歳児の脳の発達は、ほかのどんな時期の身体の成長より、もっとも急速です。生後1年以内に刺激を与え、反応をさせることで、神経回路をつくらなければ、それ以後の脳の発達に影響します。」「この時期の育児には、いくつかの落とし穴があります。一度失敗すると、この穴からはいあがれないのです。」
私がヤンママであったら、学歴にこだわりを持つママだったら、やはりあせりますね。とりあえず、この本に飛びついたことでしょう。幼児教育の大御所に大変失礼なのですが、このおばあちゃん、最近の脳神経科学の成果に全くの無視を決め込んでいるか、勉強していないか、極めてあぶない考えを押し付けています。
確かに、生後1年間は脳のシナプスが急増し、神経回路が密になることは周知の事実です。しかし、次の点が大事なのですが、このシナプスの密度が高いことと、脳そのものの機能の発達との間に、何らかの関係性があるということは証明されていません。
誤解をおそれず端的に言ってしまうと、「シナプスが急増する乳児期に、積極的に脳を刺激すれば優秀な子が育つ」と正当化する科学的な根拠は存在しないのです。
また、「一度失敗すると」などと、おどしとも取れる記述がありますが、これも科学にのっとった内容のものではありません。「○○歳までに××をしておかないと、△△は出来るようにならない」、こうした期限を一般に臨界期と呼んでいます。しかし、この定義は幼児教育で利益を得る教育産業によるもので、学術的なものではありません。
例えば、「英会話は2,3歳から」などというのも全く根拠のないもので、40歳でも、50歳でも、本人のやる気と英語環境さえ整えば、吸収速度はたとえ遅くとも、十分にものにできます。
発達神経学の権威であり、発達障害児の医療に携わってきたお茶の水女子大学教授、榊原洋一先生の言葉が思い起こされます。
「子どもたちの発達は、早期教育をやろうがやるまいが、それによって大きく進路を狂わせることがなく、人として生きていくための知識とスキルを獲得するように調整されているのである。」
要するに、早期教育などに近づく必要はない、ということです。
だいたい、子育てに失敗などないのです。
あるがままの我が子を尊重し、引き受けること。
これが出来ない親がいるとすれば、これこそ子育てと自分育ての失敗と言えるかもしれません。
子育てにあせる必要はまったくありません。
すべてにおいて、ゆっくり、ゆっくりでいいのです。
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