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ばればれの『学歴フィルター』

2021.12.23 塾長ブログ

10年以上も前に書いた拙文からの引用です。

 

「低偏差値大学の学生は、明らかに学歴差別に苦しんでいる。」

「多くの企業は説明会の中で、『人物本位』『能力本位』で採用すると謳いあげています。選考機会の平等性を力説し、低偏差値大学の学生達に夢や幻想を与え、就職意欲をいたずらに鼓舞します。しかし、ふたを開けてみると、上位大学の学生ばかりが内定を取っている。落とされた学生たちは、人物・能力の面で自分が劣っていたと自己責任として受けとめる。『学歴差別』を受けているとは、つゆも疑わず。もう、こんな茶番はやめてほしい。いたいけな学生達に徒労を課し、みじめな思いに陥(おとしい)れるのはやめてくれないか!」

 

 怒ってました、当時のヒラノ塾長。

 

学歴差別、今では聞くにスマートな『学歴フィルター』という言葉。

フィルターの最上層(Sランク)は旧帝国大学(東大、京大……に加えて一橋、東工大、医学部…)、つづいてAランク(上位国立大学、早慶上智…)➡Bランク(中堅国公立、GMARCH…)➡Cランク(日東駒専…)➡Dランク➡Fランクと格付けされています。

「大手企業はBランク以上、超大手や財閥企業はAランクで“フィルターがかかる”」だとか、「筆記試験はできたのに“フィルターで落とされた”」、こんな使われ方がされます。

例えば、企業説明会。

上位ランクの大学生には「大学別企業説明会」なる独自の説明会が開催される一方、下位ランクですと説明会の案内すら送られてきません。

 

最悪なのは、予約の段階でフィルターがかかり「満席」と表示されます。ところが、同じ学生が大学名を偽って、例えば慶応大学と登録をし直して申し込みをすると「予約完了」となったりすることがあります。

もちろん、企業側の立場も理解できます。

人気企業ですと全国から何千、何万ものエントリーシートが送信されてきます。一通一通丁寧に読み込むにはあまりにも膨大です。大学名で足切りをせざるを得ないわけです。

今月取りざたされたのは、あの大手就職情報会社マイナビが「大東亜以下」という表題のメールを就活生16,000人に送信した「事件」です。

 

Dランクに位置するのでしょうか、「大東亜帝国」(大東文化・東海・亜細亜・帝京・国士館)の「大東亜」です。学生たちはネット上で騒ぎ出しました。当然です。就活生の味方であるはずの情報会社が、学歴フィルターを無批判にも使用しているわけですから。その罪は重いと言わざるを得ません。

 

誰が隠そうと日本はれっきとした学歴社会です。格差社会です。

 

本人の人物や能力そして努力いかんにかかわらず、機会不平等な選別がなされることが少なくありません。こうした現状を客観的に認識し、批判的な視線を向けながら、自身の進路や生き方を決断していかなければなりません。

 

まちがっても2ちゃんねるの開設者、ひろゆき氏のような「嫌なら勉強してよい偏差値の大学に入ればよい。学歴フィルターに文句を言うのは見当違いだと思う」といった、強者の論理にからめとられてはいけません。こうした昭和のオヤジ的な発想では、『共に生きるに優しい社会をつくっていく』ことはできません。

「進路や生き方」、なかなか決められないものです。

 

わたしがかげながら尊敬する社長・長谷川敦弥氏(36)、福祉・教育分野に大変革を起こしてくれたのですが、こんなことを語っています。

 

「障害者の就職支援をやってきてつくづく感じるのは、『結局、人って自分らしくしか生きられない』ということです。就職には2パターンがあります。1つは自分の疾患や本音を開示して自分らしい働き方を獲得する、もう1つが自分らしさを隠して会社に適応するための就職です。前者の方が2~3倍近く定着率が高いんです。(略)どう矯正しようが、親が願望を持とうが、子どもは自分らしくしか生きられないし、そのままでしか伸びないんです。」(『AI時代の子育て戦略』成毛眞、SB新書)

あるがままに。      この1年、ありがとうございました。良いお年を!

 

最高、最強の冬期講習に突入します。

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