『フランクル先生から学ぶ「極限状況」からの脱出③(最終回)』は次回にまわしました。
新聞報道によりますと、今月19日、都庁において、テスト理論や英語教育の専門家が、改めて都立高校・スピーキングテストに反対表明をしました。詳細は省きますが、その骨子は以下の通りです。
① 不受験者の対応が、不合理で不公平。
② 運営体制において、試験の公平性や機密性が担保できていない。
③ 8万人が吹き込んだ音声の採点に公平性が期待できない。
④ 他教科の調査書の配点とバランスが取れていない。
⑤ テストの入試活用を防ぐ条例案(9月提出)に約8割の都議が反対し、否決されている。
スピーキングテストは、11月27日(日)に実施予定です。“日程的に実施は致し方がないが、入試得点に反映させるな”こう訴えています。
百合子さん、いかがですか。岸田総理の朝令暮改よろしく、今回は専門家や反対派に従った方が賢明だと思いますが。
英語ついでに、先だってある教材会社からアンケート調査が送られてきました。内容は、「学校の英語の定期テストが難化していないか」というものです。
わたしの印象をまとめてみました。
平均点から見ると、ほかの教科(数・国・社・理)との差はありません。学校ごと、おおまかな平均点を設定しているのでしょう。
ただし、学習指導要領の改訂に伴い、教科書の内容が格段に難しくなっていることは事実です。
具体的には、
① 履修単語数が大幅に増加しました。単語の質も以前だったら、高校で習うようなものが数多く見られます。全部覚えるには、かなりの暗記力が問われてきます。英語嫌いな生徒にとっては、“圧迫感のある教科書”です。
② 文法が繰り下がっています。高校範囲の仮定法や原形不定詞が中3に、中3の不定詞構文が中2に、中2の不定詞と動名詞の一部が中1に。
③ SDGsに関連した説明文や社会的な問題を扱う内容が増え、生徒によっては抽象度が上がって取っつきにくいものになっています。
④ 自身の考えや意見を書かせる自由英作文が一種のはやりとなり、配点が高いため生徒間に得点差がでてくる。
墨田区の教科書はNew Crownですが、そのページ順に授業を進めようとすると、とてもやっかいです。中1を例にとりますと、特に50ページ以降は、これまでの文法項目の指導順序をまったく踏襲していません。
羅列しますと、動名詞➡不定詞(want to~)➡一般動詞の過去形➡be動詞の過去形➡三単現のS➡does not、Does~?➡目的格の代名詞➡現在進行形➡不定詞名詞的用法……と続きます。
教科書の順序通りに教えるとなると、上記の前半で半数以上の生徒はGive upです。順序だけでなく、不定詞や動名詞など極めて“文法臭い”項目を中学1年生に持ってくるのは、どうでしょうか。
英語を使う環境に恵まれない多くの日本人は、やはり英語の規則、英文法に強くならなければなりません。英文法の土台がしっかりしていれば、英会話も難なくこなせます。
しかし、文法と聞くだけで、引いてしまう生徒・大人が少なくありません。英文法は、どうしても、このような説明になってしまいます。
『不定詞名詞的用法とは、不定詞(to+動詞の原形)が、文の中で名詞の働きをする。名詞の働きとは、①主語 ②補語 ③一般動詞の目的語の3つ……。これ以外に、形容詞的用法と副詞的用法があり、副詞的用法は、目的と原因・理由、結果に分類され、また名詞的用法の「親戚」に動名詞(ing形)がある。』
もちろん、例文を挙げての説明になりますが、こうした論理的な説明についてこられない生徒もいますし、その時理解できたとしても1週間たったら忘れている、こんな生徒も多くいます。中1生には、不定詞や動名詞の文法的な理解は難しそうです。「~したい」はwant+原形動詞で表す、という文法無視の丸暗記が求められてくるようになります。理屈の通っていない丸暗記は苦痛です。
わたしは30年以上のキャリアを積んでいますので、こうした生徒に対する対応策はいくらでもあるのですが、若い英語の先生方は相当の苦労をなされていることでしょう。授業の目標をしっかり見定めておかないと、英語嫌いの生徒、英語で得点が取れない生徒が大量に出てきてしまう恐れがあります。
英語に関してやっかいな点をもう1つ。
中1の入塾時点で、すでに英語嫌いになっている生徒がたまに見られます。「英語嫌いになっている」というより、「英語嫌いにさせられた」と言った方が正確かもしれません。小学生が英語に楽しく通っていれば問題はありませんが、苦痛を感じているようでしたら考え直してください。
「英語は中学からわたしに任せてください。小学生は、英語より読書を優先させて、日本語力や読解力を身につけさせてください。国語力のある子は、英語も難なくわがものとすることができます」と呼びかけ続けています。
さて最後に、今学期(墨田区は2学期制です)、「定期考査の勉強に勢いのあった中学生」を4人ご紹介します。勉強だけでなく、部活はもちろん、学級活動でも活躍しました。「ガリ勉ちゃん」でないところが魅力的です。成績優秀者のみをクローズアップすることに抵抗があるものの、アルファベットで登場してもらいましょう。定期考査5科目・500点満点。
中学1年(寺中)A君 中間484点 期末489点
中学1年(墨中)B君 中間468点 期末475点
中学3年(桜堤)C君 中間474点 期末470点
中学3年(墨中)Dさん 中間462点 期末455点
点数や順位にこだわらず、自分の中の目標に向かって進んでいってもらいたい。
よくがんばりました。
塾自慢になってしまいました。
わたしの拙いブログにお付き合いいただきありがとうございます。
寒暖差のある日々が続いています。どうかお体、ご自愛下さい。
あなたさまのご家族の皆様のご健康をお祈り申し上げます。
ひさびさに重厚感たっぷりの辞書『広辞苑』を引っ張り出してきました。
「ガリ勉」のガリが気になって。
がりべん【我利勉】(我利は当て字)他のことは全く目も向けず、ひたすら勉強だけをするごと。
がり【我利】自分だけの利益。
ということです。
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