今月のNHKスペシャル『日本の家族が非常事態!?<わが子がキレる本当のワケ>』はとても興味深く、切り口にも感心しました。
私も24年も前に『反抗期を考える』という原稿用紙40枚程度の文章を起こしたことがありますが、内容的には心理学の研究成果に沿ったもので、今回のNHKのような脳科学に基づく知見は皆無でした。
成人と思春期の脳をMRIで詳細に調べると、脳の中心に位置する偏桃体が思春期脳でかなり活発に活動していることを突き止めました。偏桃体とは「情動の発電装置」とも呼ばれ、ストレスや不安を一番に感じ取る部分です。偏桃体が不安を感じ続けると前頭葉にも不調をもたらし、「うつ」が引き起こされます。思春期とは性ホルモンの活発化によって性的な成熟を遂げる時期。今回の研究で明らかになったことは、この性ホルモンが偏桃体に取り込まれて、情動が成人よりも増幅するということです。
図式化します。性ホルモンの活発化➡情動装置である偏桃体を刺激➡暴言・キレる・感情の爆発・暴力的行為等
「偏桃体の感受性は、遺伝や成長期の環境における経験である程度決まる」と考えられています。つまり、子どものキレる程度は、親から「いただいたもの」(資質)と「家庭環境」の影響によって決まってくるという内容です。現在のところ、偏桃体を鍛えたり、活動を低下させたりする薬物や方法は確認できていません。
さて、子どもの反抗やキレる言動について簡単にふれておきます。
健全な反抗を通して思春期を乗り越えていく最大のポイントは、『自律性・自立性の涵養』にあると私は考えます。思考面からは、子ども自身の頭で考えさせるという習慣を身につけさせていくこと。行動面からは、たとえのろまであっても、小さな失敗や危険が予想されても、子ども自身に体験させ行動させるよう仕向けることが大切になってきます。親の口の出しすぎ、手の出しすぎは子どもから生きていく上での主体性や独立性を奪い取り、無気力で甘えた性格、あるいは自己本位の子を作り出してしまう結果になります。こうした子どもは、成長の糧としての反抗期を乗り越えていくことが難しい。子どもの個性を尊重しながら、自立を促すような配慮的な関わりが求められてきます。
子どもの反抗・キレる言動―親自身の主体性や成熟が問われていると言えます。
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