お人好しなんですよね、日本の紳士淑女の皆様方は。
TVの街頭インタビューなどを聞いていても、「社会保障の充実のためならば、消費税が上がっても仕方がない」と政府答弁を無批判になぞっているのです。
同調圧力に弱いというか、洗脳されやすい民族というか、わたしには正直、信じられない言動です。
消費税。
生徒達には事実をきちっと伝えます。
①消費税が上がると、低所得者ほど収入の大部分を食費などの消費にあてるので、高所得者に比べ税負担率が大きくなる。これを逆進性と呼ぶ。消費税は格差拡大の一因ともなる差別的な租税である。
②30年前に3%の消費税が導入されて以来、当時42%だった法人税は、今や23.2%にまで減税された。同時に高所得者の所得税も緩和されてきた。つまり、消費税は社会保障の充実のためではなく、大企業や富裕層の減税のための“穴埋め”にほかならない。
③消費増税をすればするほど、「輸出免税制度」により大企業の「消費税還付金」が増大する(トヨタをはじめとするトップ13企業の還付金合計額はなんと1.1兆円!10%に引き上げられたことにより、5.6兆円の増収が見込まれているが、その20%が大企業のふところに入る!!)。
生徒達にはもっとかみ砕いて説明するのですが、これが消費税そのものの“正体”です。
無知とはまことに恐ろしいものです。
子ども・学生に勉強せよ!と叱咤する前に、わたしたち大人が社会について勉強しなければなりません。
こんな悪税を未来の子どもたちに引き継いではならないのです。
話題を変えましょう。
先日、中3の保護者との個人面談に先立って、生徒に自由記述の作文を課題にしました。
勉強、受験、高校選び、その他、わたしに対する質問や不安に思っていること、心配なことなど書いてもらいました。
中でも女子生徒の友達に関するストレスや悩みが際立っていました。
例えば、「LINEでの会話を長々とされる。断りたいけど断れない自分がいる」「まわりの人の目を過剰に意識してしまう」「元気のない友達を前にすると、私が何かしたのか不安になる」「賞を取って表彰されると、皆からどう思われるのか気になる」「『内申がいいからラクだね』とか言われてムカつく。私だって努力してるのに」…。
学校が、いや友達の存在そのものがストレス源になっているかのようです。
かといって、こころからの友達がいない「ぼっち」(独りぼっち)は寂しく、つらく耐えられない。
女の子、女性にありがちな人間関係上の面倒くささや軋轢、そのご苦労はわたしの想像をはるかに超えるものと察します。
ここで、思春期女子の友達関係の特徴を概観しますと、
①嫌われることを過度におそれたり、他人からどう見られているか、常におっかなびっくりの気をつかう関係になっている。
②仲の良さに安住する一方で、関係性が濃くなりすぎることへの警戒心をもつ。“腹を割って話す”といった自己開示的な関係性は求めない。
③“ハブにする”という言葉に表されているように、「異質」な対象を徹底排除する閉鎖性や性悪といった面がある。
④友達関係に「勇気」や「正義」が持ち込めないジレンマが個々人に存在する。
うまいまとめになっていませんが、思春期女子の生きづらさや苦悩が見て取れます。
「厳しい先生からこっぴどく叱られるよりも、友達からシカトされたり、ハブられることの方が、300倍つらい」、こんな“名言”を吐いた生徒がかつていました。
また「教室内カースト」などという過激な言葉が生まれるほど、女子の世界での人間関係や格付けが問題視されているのです。
これまで何度となくご紹介してきたアドラー心理学、氏は「人の悩みはすべて対人関係の悩みだ」と考え、こんなアドバイスをしています。
「あなたにできるのは、『自分の信じる最善の道を選ぶこと』、それだけです。(中略)相手が自分のことをどう思おうと、好いてくれようと嫌っていようと、それは相手の課題であって、自分の課題ではない。」
相手の言動に影響を受けることの無益さと同時に、自分を信じて生きていきさえすればそれでよい、ということでしょう。
親にできることは、ただただ子どもの気持ちに寄り添い、共感し、受容するだけ。
とりわけ友達関係の問題にあっては、同性のお母さんの助言も効力を持たないことが少なくありません。
ご家庭が子どもにとっての精神的な『安楽の地』になっているか、友達関係を乗り越えていくカギはここにもありそうです。
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