塾長ブログ

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愛を伝える

2013.05.18 塾長ブログ

デスク・マットにはさまれたメモを整理していたら、黄ばんだ新聞の切り抜きが出てきました。 『作家 あさのあつこさんの「愛を伝える」』、日付は2011年6月20日と記入されています。あさのさんと言えば1000万部を超えるベストセラー『バッテリー』の作者。数々の賞を総なめし、映画化、ドラマ化されました。1954年生まれの、三児の母です。こんなことを話しています。

 『 講演などを引き受けて、ひょこひょこ出かけることが、たま にある。そして、たまに、こんな質問を受けることがある。「3人のお子さんを育てているとき、一番大切にしてきたことって何ですか」

  わたしは、たじたじとなりながら、けれど正直に答える。       「一番大切にすれば良かったと悔やんでいることはあります。それは、きみたちが好きだよ、誰よりも愛してるよとちゃんと伝えることです。わたしには、それができなかったので」……子育てに成功失敗の範があるのかどうかは不明だが、親から愛を伝えられた子どもが幸福であることだけは間違いないだろ。……本物の愛を伝えられた人間は生きるための根をはり巡らすことができる。愛とは人が生きる、その原初の力なのだ。……

 そう考えてみれば、この国の愛はほとんど枯渇しかかっているのだろうか。政治にしろ経済にしろ中枢にいる強き人たちは、決して弱者を愛そうとしない。……愛を豊かに伝えられる大人でありたいし国であってほしい。』

当時超売れっ子作家にとっては、創作活動が第一で、子どもは二の次だった。愛を伝えられなかったこと、一生の後悔となってしまいました。人間は後悔する生き物、少しずつ取りもどしていけばいいですよね。

 「子どもに不憫な思いをさせた」との親の涙の言葉。でも、子どもって意外と親の思いほど深刻に感じていなかったりもします。子育ては取りもどせる営み。今日から,今から愛を注ぎ、愛を伝えても遅いと言うことはありませんね。私はそう信じています。

 あさのさんの後半部分もいいですね。「中枢にいる強き人たちは、決して弱者を愛そうとしない」。私もこれまで繰り返し訴えてきたことです。ピーンとこないかもしれませんが、日本の子どもの貧困率(国民の平均所得の半分に満たない人の割合)は、先進国35ヶ国中9番目に高いのです。年々上昇し、今や16%弱(6人に1人)となっています。政府は実効性のある対策法を作ろうとしていません。また、近く国会に提出される生活保護法改正案も愛のある法律とは言えません。申請のハードルを上げるだけで、弱者の立場に立ったものではありません。アベちゃんの侵略や靖国そして憲法改正に関する発言、ハシモト君の従軍慰安婦に対する暴言、どれをとっても社会科学的に無知丸出しで、侵略された側、殺された側、生奴隷にされた側に対する想像力といたわりが欠如しています。これ以上書きつらねると血圧に良くないので、このあたりで失礼します。

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