8月の集中授業が始まりました。保護者の皆様、いかがお過ごしでしょうか。
7月の夏期講習は、毎日が緊張の連続で、例年にない疲労感に悩まされました。わたしが感染したら、講習はそこでストップです。皆さん、特に受験学年の生徒さんに、多大なるご迷惑をおかけすることとなります。集中授業ではみんなが元気な姿で出そろってくれて、安心しました。まだまだ気は抜けませんが、ともにこの夏を乗り切ってまいりましょう。
毎年のことですが、首相の詭弁には辟易します。
「核兵器のない世界」、広島でのスピーチで現首相が6度繰り返しました。中学生でもわかる非論理性と矛盾。アメリカの核の傘にあって、核の抑止論(核兵器を持つことによって、お互いが核戦争を避けることにつながるという考え方)を信奉する日本政府が、臆面もなく核の廃絶を唱える。矛盾してますね。さらに、世界122カ国が署名している「核兵器禁止条約」にもアメリカの圧力に勝てず、批准しない。これが唯一の被爆国である日本の現状なのです。実に情けない。
毎夏、小学生には1日1冊、絵本の読み聞かせをします。『おこりじぞう』『広島のピカ』『真っ黒なおべんとう』『ふりそでの少女』等々、原爆に対する感性的な認識を深めていきます。感性の鈍い大人にはなってほしくありません。その鈍さの証のひとつが、まさに核抑止論や核共有論(日本も核を持つべきだとする考え方)です。元外務省分析官で、作家の佐藤優氏は、「実際に戦争で人が死ぬ悲しみ、人間が焼け焦げるにおいがどういうものか。それが分からなくなっている人たちの議論です」と戒めています。感性的な認識力が未熟な大人は、理性的な認識に疎くなる傾向があります。子どもたちには、心から戦争や核兵器を憎む気持ちを強く内面化してもらいたい。わたしたち大人の責務です。
前首相銃撃事件以来、山上容疑者や統一教会の話題がマスメディアの中心にあります。
この山上容疑者の命に対する認識に、はて?と。教団トップを狙ったが、警備が強固で断念する。そして、結果的に教団の宣伝役を果たした前総理の命を狙う。
一方、自衛隊入隊中の24歳の時、自殺を図ります。「死ぬことで、困窮している兄と妹に保険金が渡ればと思った」と説明したとのことです。この3年前、教団に1億円以上も献金した母親が自己破産しています。自らの命と引き換えに、困窮した兄妹を救う。まさにこの行為自体が宗教的な自己犠牲です。飢えた虎に我が身を差し出し、食べさせた釈迦の前世での説話や、三浦綾子氏の名作中の名作『塩狩峠』の主人公の最期を思い出させます。
ここで問題にしたいのは、こうした自己犠牲的な優しさをもった人間が、なにゆえに銃撃という卑劣な事件を起こすまでいたったのか、という点です。それを解くカギのひとつが、容疑者のツイートにあります。「何故かこの社会は最も愛される必要のある脱落者は、最も愛されないようにできている」と。
愛情飢餓の状況にあったのでしょう。絶望の淵に追いやられていたのでしょう。今となっては殺人に対する言い訳にはまったくなりませんが、どんなに優しい気持ちを持った人間も、孤立や困窮などの社会的な要因によって簡単に変わり果ててしまう、こんな印象を持ちました。弱者に対する熱いまなざしと救いのための社会システムをいち早く構築することが望まれます。遅ればせながら、安倍前首相に心からの合掌を。
話題を変えて、最近の教育ニュースから2つほど。
1つ目は、7月に公表された文科省の全国学力調査の結果からの報告です。結論は単純明快でした。『SNSや動画視聴、ゲームの時間が長いほど、成績は下がる。』1日の視聴、ゲーム時間の1時間ごとの長さと学力調査の正答率が、きれいな1次関数のグラフ(右上がりの直線)になっています。皮肉な言い回しをすれば、親が利用時間に「寛容」であればあるほど、子どもの成績は下がってしまう。また、興味深いことは、科目でいうと、利用時間の長短は特に算数・数学の正答率に影響を及ぼしています。利用時間の長い子は、算数・数学が劣るということです。今後のさらなる分析が待たれます。繰り返しになりますが、子どもへのスマホの丸投げは絶対にだめです。ルールづくりは親の役目です。文科省の調査結果から極論すれば、スマホやり放題の子どもの成績が悪いのは、親に責任と原因があるということです。もちろん、個々に様々な事情があると思いますが、親として自省の機会を持っていただければと思います。
2つ目は、むかし「分数のできない大学生」が大きく取り挙げられましたが、今回の学力調査の小6算数でも同様の「できない」問題がありました。問題をそのまま引用します。
「(3)リンゴ果汁が20%ふくまれている飲み物が500mLあります。この飲み物を2人で等しく分けると、1人分は250mLになります。250mLの飲み物にふくまれている果汁の割合について、次のようにまとめます。
250mLは、500mLの2分の1の量です。このとき、果汁の割合は□になります。」
□に入れるものを次の3つから選択させる問題でした。
1は、2分の1。2は、2倍。3は、変わらない。
現場にいるわたしも驚きました。正解の「変わらない」を選んだ6年生は、たったの21.6%しかいませんでした。「2分の1」が70%弱。この正答率の低さをどう見るか、今後どのような指導が求められるか、いろいろな観点から迫っていかなければなりません。
わたしからすると、この問題は算数というより、国語(言葉)の問題です。「果汁の割合は□」ではなく、「果汁の濃さは□」にしたら結果は大きく変わってくるかもしれません。「2人で1本のジュースを分けました。相手のジュースと自分のジュースの濃さは同じですか、薄くなりますか」と、より会話的で易しい言い方に変えたら、たいていの子は「変わらない」と答えるでしょう。要は、算数の問題を日常の具体的な場面に置き換えて考える思考の柔軟さと、日本語の読み取り力が問われていたとも言えます。お子さんに問うてください。「綿1㎏と鉄1㎏では、どちらのほうが重たいですか?」
言葉に対する敏感性や論理的に読み取る力、鍛えてまいります。『読書』にさえ向かってくれれば、簡単に解決できるのですが……。
① 後期分(9月から来年2月まで)の諸費用の納入をお願い致します。なにもかも値上げラッシュで恐縮致しますが、どうぞよろしくお願い致します。
② 中学3年生は週に3コマ(月12コマ)授業時間が増えます。その分、月謝が増額されています。
③ 中学2年生の授業日が、火・水・金から火・木・金に変更になりましたので、ご確認ください。
④ 第2学期の質問教室(午後7:30~9:50)は、月・火・水・土です。大いに利用してください。
⑤ 夏期講習および8月集中授業での遅れ(欠席などで)については、わたしが管理していますが、心配な方はどうぞご連絡ください。質問教室でいくらでも補習(個人指導)ができますので。
⑥ 第2学期以降の新入生を募集しています。ごきょうだい、お友達をぜひご紹介ください。
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