塾生の妹さん、6年生が2月に亡くなりました。脳腫瘍とのことです。親にとって子どもを亡くすことは未来を失うこと、との言葉がありますが、神は何という残酷な試練を与えたのでしょう。私たちは死という絶対的なものの前に、なす術を持ちあわせません。この無力さに怒りと絶望を覚えるのです。
心からのご冥福をお祈り申し上げましょう。ご家族の皆様にお悔やみを申し上げるとともに、ありのままの心を持って、悲しみきって頂きたいと思います。
ここで、最近手にした本の一節を御紹介させて頂きます。
「『泣きたいときには泣いたらいい』と一般的によくいわれるように、悲しみを抑えるのではなく、十分に悲しみを経験し、悲しみきることが大切である」(坂口幸弘『死別の悲しみに向き合うーグリーフケアとは何かー』2012年 講談社現代新書)
この「悲しみきる」という言葉を心にしっかりと留めておきましょう。グリーフ(悲嘆)ケアにとって、最も重要視されている事柄です。葬儀のあわただしさや、気兼ねなどのため、十分に泣ききれなかったり、深い悲しみに身を任せることができないと、後々、心身に変調をきたすと指摘されています。
私の親戚も1ヶ月前に逝去しました。2歳と5歳の2人の子を持つ37歳のお母さんです。脳内出血で突然倒れ、意識を回復することなく、2週間後に息をひきとりました。子ども思いのほんとうにすてきなママでした。ママの突然の死という現実を前にして、2人の心がどれほど追いついているのか。葬儀の中にあっても、ふと見せてくれる無邪気な笑顔。胸が詰まり、悲しさより、苦しかった。「これからは親子3人で笑顔の絶えない家族をつくっていきます」という喪主(夫)の、参列者を思い遣るあいさつに、私自身が救われました。
心に大切にしまってある言葉があります。岩手県陸前高田市、曹洞宗普門寺住職、熊谷光洋氏の語りの一部です。
「生きている人が幸せになることが、亡くなった人への最大の供養です。『あなたがいたおかげで私はこんなに幸せだよ。ありがとね』。そう言えた時に初めて、亡くなった人は成仏できる」
愛する人との死別に際しては、何よりも「悲しみきること」。そして、時の経過を勘案しつつ、熊谷住職の言う供養と成仏を実践していくこと。私はこのように心の準備をしています。
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