
墨田区 東向島 学習塾 ウエル学院平野進学教室からのお便りです。
前回に続き沖縄戦について。
あの自民党の議員は、これまで積み重ねられてきた学術研究を丹念に学ぶという謙虚な姿勢が欠落していたため、石破総理が直接沖縄県知事に謝罪するという結果をもたらしました。
この議員は「ひめゆりの塔」の展示や歴史観に食いつきました。
食いつくといっても、歪んだ歴史観を背景とする食いつき、フェイクであって、ひと言「無知なおバカさん!」と返答するばかりです。
これまで4度ほど「ひめゆりの塔」(「ひめゆり平和祈念資料館」)を訪れ、そのたびA版・厚さ1センチほどある資料集を買い求めました。
生徒に音読する箇所を引用させていただきます。これがひめゆり学徒の窮状です。長いですが、思いを馳せてください。師範本科2年(当時19歳)・ハルさんの手記から。
先番と交代して入ったら 壕の奥には死体が毛布で覆われたまま放置され 悪臭を放っていたんですよ。
その死体片付けが大変でした。死んで何日も放置された死体は 膨れ上がって大きいのです。 それを担架に乗せ 艦砲の合間を縫って 艦砲穴に一 二 三の掛け声で投げ込み 全身が隠れる位まで土をかけて埋めていました。私達は栄養不足で瘦せ細っていますし二人でフラフラ 落っことしそうになりながら 足を踏ん張り作業を続けました。 雨は降るし 艦砲は来るし 生きた心地もしません。
翌日また埋葬に行ってみますと 埋めた死者の足が飛び出している始末です。連日の雨で土の沈殿が激しく、またそこに砲弾が落ちるからです「便器下さい 尿器下さい」「水をくれ」と あっちからも こっちからも 呼ぶんですよ。患者の手当て
尿便の処理だけでも手不足なのに 看護が行き届かない と怒鳴りつける人もいるありさまで「包帯を代えてくれ 治療してくれ」と 言われても衛生材料は全く足りないのです。手の施しようもありません。非常に困りました。
壕は二段式寝台になっていましたが「上のやつが尿を漏らした」と始終大声で怒鳴るし 死者の埋葬は毎日ですし キリキリ舞いの忙しさで 大変な勤務だったんですよ。
艦砲の落ちた穴には池のように水が溜ります。それを飲み水に使うのですが そこで洗濯もするし 虱の湧いた髪も洗います。壕内の糞尿処理は悪い上 キビ殻の甘酸っぱい匂いに蠅が群がり甚だしく不衛生で傷口は必ず蛆が発生しました。生きた人間に蛆が湧くんです。膿でジタジタになった包帯の中で ムクムク動いて ギシギシと肉を食べる音まで聞こえるのです。ピンセットでつまみ出しても 包帯の中に引っ込んでしまったりです。薬も包帯もないので 治療も出来ず蛆とりだけが私達の仕事でした。蛆が膿を吸いつくすから却って治りがいい と言っていました。
破傷風患者は口が開きませんから「水をくれ、水をくれ」と苦しまぎれに 手真似で祈る恰好で訴えるんです。かわいそうでしたが 固く閉ざした歯の隙間から ガーゼの水で潤してあげるだけしか 出来ません。
毒が脳に回った脳症患者は 絶えず 訳の分からないことをしゃべり続けていました。時々 私達の脚を摑まえたりしますので 転びそうになったりします。 それに うっかり尿でも傍らに置いておこうものならそれも飲んでしまう有様です。 元気な患者は 夜 勝手に外に出て行って 飼い主のいなくなった馬や山羊を捕まえてきて 解体し 食べていましたよ。
兵器廠の壕は 上官や責任者が一体誰なのかも分かりません。無規律な状態になっていたと思います。
いかがでしょうか。
いまで言う高校生や短大生、それも看護に関して何の訓練も受けていないごく普通の女学生が、こんな地獄絵の中で毎日献身的に働かせられていたのです。
ひめゆり学徒隊230名、うち123名が命を奪われました。
なんの法的根拠もなく、少女たちは戦場動員に駆り出されたのです。
これは沖縄戦のむごたらしさの一場面にすぎません。
あの国会議員は何をもって「ひめゆり」を批判するのでしょうか。
本日もお読みいただきありがとうございます。
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