京都教育大学の生協で起こった焼きプリン4000個誤発注のニュース。購買部のある女性が、プリン20個を誤って4000個発注してしまうミスがありました。騒動を知った学生達が、ツイッターで購入を呼び掛けるとまたたくまに拡散し、近隣5大学の生協も販売協力して完売までたどり着いた、という実にいい話です。
小泉政権以来、日本の政治思想は『新自由主義』という立ち位置を取ってきました。その核心は、競争と自己責任にあります。自由主義社会だから競争は当然のこと、負ければそれは君自身の努力不足が原因、自分で責任を負いなさい、こうした競争原理に基づく冷徹なイデオロギーが新自由主義です。弱者が排除され、人間集団が強者と敗者に分断されてしまう利己主義的な思想と言ってよいでしょう。3.11以降の『絆』とは、真逆のものです。
ある人がミスを犯した。それを自己責任、自業自得とばかりに突き放し、無関心な態度をとってしまうのではなく、「誰だってミスはするもの。みんなで、一人でも多くの人をかき集めて、助けにいこうぜ!」こうした連帯と思いやりの行動があたり前のような社会が理想ですね。一人のミスや失敗を個人的な問題として矮小化せず、皆が、社会全体が当然のように助け舟を出す社会。国会議員よ、マニフェストに書いてくれ。ウエルの小学生は暗唱していますよ。「……東二病気ノコドモアレバ……西二ツカレタ母アレバ……南二死二ソウナ人アレバ……北二ケンカヤソショウガアレバ……」、こうした利他の精神の尊さを子ども達に伝えていきたいものです。
完売し空になった棚には次のような直筆のメッセージが残されていたそうです。「…私たちのことを思って宣伝してくれて、そして足を運んでくれてありがとうございました。うれしくてうれしくて……これからも皆さんに愛される生協を目指して頑張ります」と。
失敗を犯した人間を徹底的に批判し、潰してしまうのが良いのか、それとも、批判はさておき、その失敗をみんなで支え合い、乗り越えていくのが良いのか。企業の利益にとっても、そして、失敗をした当人の今後の仕事力にとっても、どちらがより生産的なのか、言わずもがなのことです。
教訓。優しさは人を育てる、思いやりの行動が人を成長させる、ということですね。
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