野球そのものは好きなのですが、高校野球だけは一歩引いてしまいます。
すべては純粋な球児たちの心と体を、エゴ丸出しにコントロールする大人連中のせい。
あの酷暑炎天下の8月、関西で開催することはないでしょう。ドームもあります、北海道でもいいでしょう?甲子園という伝統よりも、選手たちの体力面、健康面に配慮すべき時が来ています。何のためのスポーツなのか、大会なのか高野連は原点に立ち戻って考えを改めるべきです。
もう1点は、ベンチで偉そうにしている‘あの男’が気にくわない。
ベンチに大人は入れるな、というのが持論です。あるときは選手が“奴隷”に見えます。部活動はあくまで教育の一環であって、球児は大人の所有物ではないのです。今後は、高校生自らが采配を振るうのです。野球の奥深さを学んでいくのです。勝利至上主義でなくていいのです。みんなで知恵を出し合って戦っていきます。独裁者のような監督は排除せよ。
一方、先進的な動きが出てきました。
学校名が思い浮かばないのですが、球児がすべての采配を振るうというチームが新聞で紹介されていました。大人の監督はベンチ入りするものの、いっさいアドバイスなどはしないそうです。
丸刈りを辞めた高校もありました。今夏の甲子園出場校49校のうち、旭川大、秋田中央、花巻東の3校。監督の弁です。「自ら考える力を期待して」「『伝統だから』ではなく、意味や意義を考えないといけない」。やはり、野球オンリーの根性主義的な監督ではなく、教育を語れるリベラルな指導者がいいですね。
最速163キロを誇る大船渡高校の佐々木投手の件も注目です。甲子園出場を決める決勝戦に投げさせませんでした。肩や肘の故障から守るためです。筑波大学出身のこの監督、さすがですね。医学部の先生に佐々木投手を診てもらった結果、これ以上の負担はかけられないと判断したのです。勝つことだけを考えて選手を酷使する反知性の監督とは、一線を画します。
こんな本も出版されました。『教えすぎない教え~自分の頭で考え、行動することで、人もチームも大きく育つ。4人の高卒ドラ1を輩出した名将の、自主性指導論』(履正社高校野球部監督 岡田龍生 2019年 竹書房)
この本が出たのが7月、そして8月の甲子園で優勝校となりました。「1から10まですべてを説明するのではなく5くらいに留めておき、あとは選手たちに考えさせる。」「私が言わなくても自発的に練習に取り組むようになった。自分にないものは何かを考え、練習メニューなども自分で考え、工夫するようになっていったのである。」
選手は監督の駒ではなく、人格を持った人間として接していることに気づかされます。
子育てもまったく同様ですね。
親が子どもの先を歩いてはいけません。子ども自身に考えさせ、子ども自身に判断させ、子ども自身に行動させ、子ども自身に責任を取らせる。いかにしてわが子に自主性と自律性を身につけさせるか、親側の意識的な関わりが求められてきます。
話題は変わりますが、この2ヶ月で同じ内容のご相談を5件ほどいただきました。
外部の方がほとんどです。一言で言えば、中学受験をして、中高一貫校に通っている子が、ある学年を境にまったく勉強をしなくなった、どうしたら勉強に向かわせることができるか?というものです。
わたしの本音の回答は、「そんなことも知らないで一貫校に進学させたのですか?親の怠慢ですよ!」というもの。
一般論の話として、遊びたい盛りの小学校時代、それも2~3年もの間、塾通いをさせられ、宿題に追われ、順位がどうだ、偏差値が下がったと脅され、ようやく入学した中学生活も大量の宿題やらで気を抜く暇もない毎日。
勉強から逃避するのがあたりまえ、ごく正常な行動なのです。
反抗期になれば、自らの過去を振り返ります。
“自分の小学校時代は、母親に強制され、無理やり勉強をさせられてきた。ふざけんじゃねい、おれはお前のモルモットじゃないんだ!”もうこうなると手が付けられません。
親が一番嫌がる反抗行動をとります。それは、勉強をしないこと、なのです。不登校や引きこもりについても、私立中学受験組は要注意です!次の文献に目を通しておくことをお勧めいたします。
杉浦孝宣『不登校・ひきこもりの9割は治せる』光文社新書 2019年
最後にひと言だけ、
『わが子と対話するならよし、誘導するような言動は厳に慎め!!』
学年通信・授業風景
《小学部》
8月の集中授業では、毎日絵本の読み聞かせをしました。8月は“戦争の月”ですので、広島、長崎の原爆、沖縄の地上戦、東京大空襲を扱った名作中の名作を取り上げました。『おこりじぞう』『ひろしまのピカ』『まっ黒なおべんとう』『ふりそでの少女』『悲しい対馬丸の話』『ひめゆり』『つるちゃん』(作者・出版社は略)など。読後には「百字作文」でもっとも心が動いた場面と感想を書きました。戦争のむごさに直面し、人の命と平和の尊さを心に根付かせたい。読むことを通して、心を動かし、深く考える習慣を身につけていきましょう。毎日の読書チェック、忘れないようにしてください。
《中学1年》
部活と勉強・塾、うまく両立させています。単元ごとの確認テストも、しっかり取り組んでいます。なにしろ、不合格になってしまうと、クラスの中で一人危機感や羞恥心をあおられ(もちろんこんなことが目的ではありませんが)、授業日以外にリテストを受けに来なければなりません。こうした経験を重ねていく中で、“勉強は自分の仕事である”という自覚が出てくるようにもなります。この先、いろいろな心配事と向き合うこととなります。それが思春期。漢字のごとく、「親」は木の上に立って見守っているだけでよいのです。
《中学2年》
勉強や成績、順位にけっこう高い意識を持っています。学校の定期テストの順位を大幅に上げてきた生徒が目立つようになりました。これからが楽しみなクラスです。わたしとしては、学校の成績の向上にとどまらず、社会性というか、精神的に大人化させるというイメージ戦略があります。‘スマホいじり’は幼児化のもと。親がしっかりと管理してください。繰り返しですが、子どもにスマホを買い与えてはいけません。1日に〇時間だけ、貸し出すのです。約束を破ったら、わたしが責任をもって預かります。
《中学3年》
正直、先伸びタイプの生徒が少なく、入試までの学習計画や仕掛けに苦労します。控えめな性格はしとやかでいいのですが、勉強にまで控えめですと、Vもぎの偏差値はそこそこで伸びを欠くようになります。来年度の高校入試の資料が出そろうのが11月上旬になります。今年度は保護者会ではなく、個人面談にじっくり時間をかけて、ひとり一人の進路にきめ細かなアドバイスを送らせていただく予定です。何年も通い続けてくれる3年生、手を変え品を変え、“愛情たっぷりに!”鍛えてまいります。11月以前に面談を希望の方はご連絡下さい。
《高校部》
香港の高校生は熱い。
中学生までもが授業をボイコットして「逃亡犯条例」改正案に反対し、運動に参加しています。「自由の闘い」とも呼ばれるこのデモ、一部の過激な集団はいるものの、実に平和的で、なによりも運動のリーダーが見当たらないのです。今わたしが30数年前の大学院生にもどれたなら、すぐにでも香港に飛び立ち、研究論文を書き上げていたでしょう。
4年前の夏、大学生グループSEALDs(シールズ)による「安全保障法制」反対運動以来、若者による大きな動きがありません。せっかくの18歳選挙権も生かされていないようです。
おとなしすぎるというか、政治的無関心というか、歴代政府による労働組合の弱体化と同様、若者・学生による政治活動への参加がものの見事にそがれているのが現状です。政治音痴にさせ、無関心にさせることが、為政者のねらいです。
なぜこんな話を?
そう、文科省と財界が仕切っている「高大接続改革」、その一環である高校2年生が受験する「共通テスト」、実は問題・矛盾だらけです。
高校生は傍観者的に黙って見ていてはいけない‘しろもの’なのです。
例えば、英語民間試験。全国の高校の約9割は「問題あり」としているのです。
また、この「改革」を念入りに読み込むと、まさに財界の要望する「人材育成論」そのものであり、成績上位者のみを念頭に置いた中・下位層無視の差別的な「改革」と言えます。
塾として「共通テスト」への準備は怠りませんが、わたしとしてはどうしても納得がいかないのです。全国の高校生、立ち上がれ!
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