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絵本『ママのスマホになりたい』

2017.10.27 塾長ブログ

また有名芸能人の2世が逮捕され、親の責任論が取り沙汰されています。芸能界に疎い私の論評など全く無意味なのですが、一言だけ。

 

父親は涙を見せながら「厳しく育ててきたつもりなのですが」と語っていましたが、やはり突っ込みを入れたくなります。「どこが厳しく?逆に大甘ではなかったのか!」と。

 

高校時代にNHKの大河ドラマ『功名が辻』でデビューさせ、その後も数多くの映画や舞台、ドラマに出演させています。演技に傑出したところはなく、親の七光り以外何物でもない。“芸能界などちょろい!”という意識を植え付ける結果となりました。

 

日常のマナーは大事。それよりも人の生き方に厳しくあたるべきでした。

 

我が子だけが有利になるような口利きや働きかけ(あるいは「忖度」?)は、卑怯であり姑息であり、親として厳に慎むべきです。

 

アンフェアなことを黙認してしまうような父親の子どもは、やはりフェア(正義)な道には進まないのです。“狭き門より入れ”“可愛い子には旅をさせよ”、名言中の名言ですね。

 

先月、商社に勤める教え子と昼食をともにしました。

体調が思わしくなく、2ヶ月ほど会社に行けていません。同期6人中4人が休職ないし退職しています。部署によって違いはあるようですが、あの電通やNHKと同様の過酷な労働環境のようです。

昨年度、仕事が原因での自殺は20~30歳代で955人と報告されていますが、実際には1000人をゆうに超えていることでしょう。

 

日本は「敗者復活」のきかない国です。一度正規の職を離れてしまうと、再就職が難しい。

大学時代の奨学金の返済のため、辞めるに辞められない若年労働者も多く存在しています。からだも心も悲鳴をあげているが、そこから逃避できないでいる。利潤のためならば、人の健康や命などどうなっても構わないという強欲な資本の論理。

 

どう対抗するのか。

愛する子どもを守り抜くためには、まず親自身が理論武装しなければなりません。ワーク・ルールについて勉強しておきます。Q&A形式の労働法関係の本を1冊読み込んでください。過重労働に苦しめられている場合は、出退社の時間をメモに残し、過労死110番や公的な相談窓口、ユニオンを活用します。パワハラ、セクハラにはボイスレコーダーを持たせましょう。様々な窓口を利用して、立ち上がる以外に道はないのです。後に続く者たちのためにも、泣き寝入りは避けたい。

ブラック企業にブラックバイト、最近では「ブラック研修」なるものも問題になっています。いわゆる“洗脳”です。研修中に自殺者も出ていますから、注意が必要です。その特徴は、睡眠をとらせない、大声を出させるなど肉体的な負荷をかけ、精神面では自己否定をさせ、それまでの価値観を破壊する。外部との連絡を絶たせ、最終的にはどんな悪辣な労働環境でも辞めないように調教し、洗脳するのです。就職1年目の春、注意してあげましょう。

 

 

「平野さん聞いてよ、俺、頭にきてさ。家の前で水まきしてたら、自転車に子どもを乗せたヤンママがけっこうなスピードで来てさ、それだけならいいのだけど、片手でスマホをいじりながらだよ。俺も孫がいるから思わず『お母さん、あぶないよ。子ども乗っけてるんだから』と言ったら、『うるせー、クソジジ!』と一言吐いて逃げるように走っていったよ。」

 

「その女の人、ひょっとしてなんとかマユコという国会議員じゃなかった!?」(笑)

 

ヤンママ、ヤンパパにもいろいろと事情があるのでしょうが、ベビーカーや自転車に子どもを乗せながらのスマホは論外です。子どもの安全以上に大切なものなどあるはずもありません。

いま手元に『ママのスマホになりたい』(のぶみ WAVE出版 2016年)という絵本があります。

スマホばっかり見てぼくのことを相手にしてくれないとさみしがるかんたろう君。幼稚園の先生から大人になったら何になりたいかと聞かれ、「ママが スマホばっかり みてるから、ぼくは ママの スマホになりたい」と答えるのです。

 

シンガポールの小学生の作文が基になって出来上がった絵本ですが、なんともせつないですね。幼稚園ぐらいですと、ママのほほえみとママのギューが生きることのすべてですから、ママを取られたら、それはまさに生存の危機に他なりません。

 

でもかんたろう君のママ、気づいてくれました。

「ママ、これから かんたろうくんの まえで スマホみるの やめる。……こんな ママで ごめんね。ママね、ホントに かんたろう だいすきなのよ。それだけは わかってね」ふたりで大泣きしている絵がかわいすぎる。

 

図書館で借りて、ぜひかんたろう君を感じてみてください。

中高生の子どもとその親各600人を対象にした調査結果(2017年4月)によりますと、25%の子どもは親に対して、「会話中にスマホに気を取られている」と感じていました。さらに「時々、親は自分のことよりも、スマホを大切にしている」と答えた子どもが20%にも上りました。

 

親のスマホ依存の究極は、やはり「スマホ育児」ということになるのでしょう。確かによく見かけるようになりました。

 

ママも様々な情報が必要でしょうし、つかの間の時間をスマホで過ごすことも精神衛生のため大事。

 

ヤンママたちを批判するつもりは毛頭ありません。TPOをわきまえよ、ということですね。がんばれ、ヤンママたち!

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