気になること。菅総理の政治理念。
「自助・共助・公助。この国づくりを行っていきたいと思います。まず、自分でできることは自分でやる……」。自民党の綱領にも散見される考え方ですが、競争と自己責任が強いられる冷たい社会=格差・分断社会が継承されることになります。官僚をいたぶり、強権的に支配しようとする臭気がムンムンと漂っています。第二の自殺者がでないことを祈ります。
日本人はお人好しすぎる。
あのアベノミクスやらになぜもっと批判、反論しないのか。景気が良くなった、株価も上がったという。大企業の貯金(内部留保)が大幅に増加し、株に投資できる余裕のある富裕層は潤った。トリクルダウンなるまやかしの経済理論に国民は騙され続けた。すなわち、「富裕層がさらに富裕になると、経済活動が活発化することで、低所得の貧困者にも富が浸透し、利益が再配分される」と。現状は皆さんの知るところ。大企業の内部留保が増えていくことに反比例し、国民の実質賃金は下降の一途をたどっている。
なぜ怒らぬのか!国民の批判なき無自覚と無関心が、与党を増長させ、国民の生活を悪化させ、ひいては子ども世代にそのつけを払わせることになります。親の責任を果たしているとは言えません。この辺にしておきましょう、血圧が上がらないうちに。
これも気になることですが、7月に実施された教職員調査(小中高校、特別支援学校の先生、1,200人)。89%もの先生が、「今後いじめが増える可能性が高い」と答えています。また、88%が、「精神的に不安定な子が増えている」、87%が、「疲れている子が増えている」、同じく87%が「学力格差が拡大する可能性が高い」と回答しています。
長期休校の負の遺産が徐々に取り除かれてきているとはいえ、親にははかり知れない心身の不調が子どもたちを苦しめていたという事実に、あらためて注視しなければいけません。
子どもの自己表現力には限界がありますので、自分の置かれている心的な状況について的確に言語化することが難しい。ストレスの発散方法も定まってはいません。自分で気づかぬうちにストレスを抱え込んでしまうことがよくあります。
好きなことに打ち込ませること、友達と遊ばせること、汗をかかせること、そして親が子どもの話や愚痴を心して聴いてあげること。この4点を大切にしてあげてください。
コロナ禍は子どもだけでなく親にも様々な困難を与えました。
例えば、夫から妻へのDV。昨年に比べ3割も増えたとの報告があります。妻への虐待は、かなりの割合で子どもにも向けられますので、すこし立ち止まってDVについてふれておきます。
いろいろな捉え方があるようですが、おさえておくべき点は、「DV男子は暴力嗜癖という心の病理である」こと(草柳和之『ドメスティック・バイオレンスー男性加害者の暴力克服の試みー』)。
つまりアルコールや薬物依存症と同列の病であるという見方です。
「性格の問題」ではありません。「怒りのコントロールが未熟な人」でもありません。たとえ怒りを抑えるプログラムをクリアーしたとしても、DVを止めることができません。年齢、学歴、職業、資質などには関係なく、また外ヅラがよく、おとなしい人に多い。興味深いのは、加害者は暴力をふるっているまさにその時、心拍数が減少しているというのです(梶山寿子『夫が怖くてたまらない』)。つまり一時的な感情にまかせた暴力ではなく、冷静な判断のもと妻を攻撃しているのです。ここにDVの怖さを感じ取ります。
共感性の欠如、そして意のままに妻を動かしたいという支配欲求、こうしたことがDVを生み出す主因とされています。
DVは、両者が話し合いを重ねて解決できる問題ではありません。
病ですから、専門家に任せるしか暴力を抑えるすべはありません。責めても、謝罪させても一時的なものでしかなく、繰り返すことがほとんどです。妻も、専門家による癒しの作業が求められることがあるようです。最後に、繰り返しになりますが、DVは「病」ですから加害者である夫をいたずらに攻撃しても全く意味のないことです。関係性をさらに悪化させてしまいます。
これまで家庭内暴力(子どもから親への暴力)に関する書物に数多くあたってきましたが、ひとつ言えることは、暴力をふるうことで本人自らも深く傷ついているということなのです。DV加害者も本人の自覚のないまま、傷を深めているのかもしれません。
母親の受難、シングルマザーの現状にも心痛みます。
コロナ禍でシングルマザーの7割が雇用形態の変更(休職、解雇、雇い止め、労働時間の短縮等)や減収に見舞われ、6割を超える人が心理的な苦痛にさらされています(朝日新聞 9月11日付け)。
寄せられた声です。「仕事がほぼなくなり収入が激減。子どもは発達障害があり、経済的に追い詰められているときに2人きりでいると自分がどうにかなりそうで怖かった。」「仕事も週1、2回に減り、子どもたちは1日2食で我慢。私は2日に1食が当たり前。」
返す言葉が見つかりませんね。コロナ禍では所得の低い家庭ほど減収幅が大きく、生活が急激に悪化しました。
新総理よ、「自助」どころの話ではない。シングルマザーの現状を認識できていますか。
日本は、児童手当やひとり親を支援する児童扶養手当が、国際的にみて給付額が少ないのです。また、子どものいる世帯の平均年間所得は、1985年以降、500万から700万円台を推移していますが、母子家庭はずっと200万円台です。このコロナ禍にあって、消費税論議をしたり、自助だの公助だの、おふざけは許さない。
「自助」でなく「限界」に達しているのです。
母親の苦悩と不安は、必ずや子どもに向かいます。負の形となって我が子に伝わってしまいます。母親を経済的にも精神的にも守ってあげない限り、子どもは安定的な生活が送れません。勉強どころの話ではなくなってきます。母親の自己犠牲では子どもは幸福になれません。
ここで最新のユニセフの調査(「先進国の子どもの幸福度を形作るものは何か」38か国参加)をご紹介します。詳細は未発表なので、結論のみとなります。
日本の「子どもの幸福度」の総合順位は38か国中20位。
この順位は次の3つの指標をもとに算出されました。①精神的幸福度(生活満足度、自殺率)=37位 ②身体的健康(死亡率、過体重)=1位 ③スキル(読解力、数学分野、社会的スキル)=27位。やはり気になるのは、①精神的幸福度の37位ですね。ちなみに、2013年に実施された同様の調査において、31か国中6位と上位だったことは見逃せません。この分析は私には手に負えません。教育社会学の専門家に任せましょう。わたしからは以下の2点を強調するにとどめたいと思います。
1つは、生活満足度の「生活」を家庭生活に限定すれば、その満足度を規定する要因は、様々な調査を見ても、「家族との会話や団らんの時間が多い」ということがはっきりしています。
例えば、反抗期の男子は寡黙になりがちですが、両親ともわが子を全面的に受け入れ、評価・承認する態度が親側に備わっていれば、不機嫌ヅラの男の子も自ら団らんに加わってくるものです。団らんをあえて避けていれば、それは親への親和的感情や信頼感の欠如だと思ってください。口うるさい(と子どもが感じている)母親、自己中心的で融通の利かない父親は要注意です。「子どもが話をしてくれない」のではなく、「話をしたがらない態度」を親側がとってきたのです。
2つは、精神的幸福感を規定するもうひとつの要因は、「自己評価」「自己肯定感」「自己充足感」ということになるでしょう。自分に対してどの程度の評価を与えているか、この評価が高いほど精神的幸福感も増すことになります。
自己肯定感は、単純化すれば、①これまでの経験や実績などを通してどれほどの自己達成感を得ているか。②親をはじめとする友人、先生からどれほどの高評価、承認を得てきたか。これらによって自己肯定感の強弱が決まってきます。子育ての目標は?と問われれば、“自己肯定感に満たされた子に”と答えてもよいですね。
何度も引用してきました。わたしからのメッセージです。
「肯定的な自己イメージをもった子は、自ずと学業へと向かう。」
我が子の自己評価を高める関わりを幼いころから継続的に行うことが求められてきます。
子育てに遅いということはありません。今日から、上記2点を実践してみてください。
※個人面談は講習期間を除き、1年を通して行われています。ご一報ください。
※中学3年の保護者会は11月上旬に開催します。
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