11月10日(木)、中学3年生の保護者会にて、『都立高校の推薦入試』について時間を割き、お話いたしました。
わたしの結論から申し上げますと、“都立推薦はないものと思え”“決して合格を期待してはいけない”ということです。
今年度の推薦倍率は、過去最低でした。最低と言っても、普通科では男子が2.69倍、女子が3.25倍と一般入試に比べたらかなりの高倍率です。合格を期待してはいけない理由の1つが、この高倍率です。
2つ目が、面接や小論文(今年も集団面接はありません)は不確実性の伴う検査であり、また採点者側の主観が入り込むため、合格基準を推しはかることができません。これも合格を期待してはいけない理由になります。
面接と小論文、付け焼刃で向上するものではありません。努力が報われないことがほとんどです。これに時間を割くより、一般入試に集中した方が得策、こう考える受験生が増えてきました。
論理的に話をするのが得意でない子、どちらかというと無口な子、作文が苦手な子、推薦の過去問を見て後ずさりしてしまう子、無理して受けてはいけません。
3つ目は、これが最も大事なことですが、「推薦に落ちた時のショックが、予想以上に大きい」ということです。
A子さんは小松川高校が第1志望です。推薦は、内申からいっても、そのほかの面からも、合格にはたどり着けない状況でした。本人にもその自覚があって、推薦は受けないことにしました。一般なら模擬テストでもA判定でしたので、確実に合格ができるはずです。ところが、親の軽い一言で、直前になって推薦試験に向かうことになりました。
結果は、不合格。
発表の日の授業に来ませんでした。
自宅に電話を入れます。お母さんが出て、「布団にもぐって泣いています」と。
授業の終わった時間に再度電話を。「まだ布団から出てきません」。
わたしは中3生には繰り返し、「都立推薦はないものと思え」「一般入試で勝負をかけよう」と声掛けをしてきました。検査前日も「合格を期待しないこと、X高校の先生とお話をしてきなさい」といって送り出しました。
「わかってます、先生」と、にこっとわらって、教室を後にしたのですが。
結局、A子さん、一般入試が怖いと言って受験を放棄し、併願確約した私立高校に入学しました。
親や教師は決して「ダメもとで受けてみたら」とか「これもひとつの勉強だから」などと軽口をたたいてはいけません。
落ちた時の無念さは、大人が考える何倍もの負担になっていると思ってください。
人の目を気にする思春期、「試験に落ちた自分」を演出するのは難しい。
わたしは都立の推薦を受ける生徒には、プレガイダンス(不合格の際の心の準備)に時間を取ることにしています。
繰り返します。
「試しに受けてみたら」、これは禁句です。
本人が自主的に受けると言わない限り、推薦に誘導するような言動は慎みましょう。
わたしがここまで言っても、お母さんの中には本音が漏れ出てしまう方がいらっしゃる。
生徒は正直なんです。「塾長ね、うちのお母さん、推薦で受かったらDisney3回行かせてあげる、なんていうのよ。」
笑笑。
このお母さんも子どもも、正直でやたらに明るくて、大好きです。もうだいぶ前に卒業していきましたが。
本日もお読みいただきありがとうございます。
今日から恒例の“お話タイム月間”(保護者との個人面談)です。
どんな話が飛び出すやら、楽しみです。
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