墨田区 東向島 学習塾 ウエル学院平野進学教室からのお便りです。
前回は「インクルーシブ教育」の実践の難しさについてふれさせていただきました。
その教育効果は絶大だか、日本には条件整備が整っていないため実現性にとぼしい、こんな話をさせていただきました。
今回は別の観点から「インクルーシブ教育」を見ていこうと思います。
こんな‘つくり話’から入ります。
花子さんはおとなしくとても優しい小学5年生。担任から、毎年のように決まって「お世話係」を頼まれます。断ることもできず、障害を持った太郎君のお世話をかいがいしくこなしていきます。担任初め、太郎君のご両親、友達、そして太郎君からの信頼と感謝は大変なものでした。
ところが、花子さんは、世話係が嫌で、やりたくなかったと言いだしました。
思わぬ本音に担任は困り、花子さんの親も説得に入ります。
話が中断するようですが、障害に関する著者・書物で、ガツンとあたまを打たれた経験があります。
横田弘 『障害者殺しの思想』 (現代書館 増補新装版 2015年)
横塚晃一 『母よ!殺すな』 (生活書院 2007年)
横田弘(1933~2013)、横塚晃一(1935~1978)の両氏は、脳性マヒの障害をもって、それこそ命懸けで障害者運動に取り組みました。詳細は前掲書に任せます。障害者に関係する皆様には、未読であればお薦めしたい必読書です。特に横田氏のものは、頭を打ち抜かれるほどの衝撃が走りました。
そのなかで、このフレーズが頭に焼き付いています。一生わたしから離れることはないでしょう。
『愛と正義のもつエゴイズム』 (横田・112頁)
花子さんに戻ります。
花子さんの本心は、それがどんな理由であれお世話係をやりたくなかった。しかし、担任や親は「愛と正義」の理屈をこねまわして、ありったけの道徳観念をもち出して、太郎君の世話を続けてほしい、と頼む。
「困っている人や、弱い人がいたら助けてあげる、それが人としての優しさだから」
親や教師は繰り返し語りつづけます。
しかし、担任や親の花子さんへの依頼心と語りこそが、「愛と正義のもつエゴイズム」にほかならない、このようにわたしは理解しました。
そうです、いつでもどこでも、だれにでも通用するような普遍的な「愛と正義」は存在しないということです。嫌がる花子さんに強制することは、まさしく大人側の一方的なエゴイズムに他ならないのではないか。子ども不在の「愛と正義」は認められません。
朝日新聞の「折々のことば」(鷲田清一、6月3日)でこんなフレーズを見つけました。
『寛容はちっとも美徳ではない』 (森本あんり 神学者・牧師・東京女子大学学長)
森本氏と言えば、ICU(国際基督教大学)の看板教授。愛と寛容を謳うキリストの教えに背くかのような一句です。「愛と正義のもつエゴイズム」と通底する思想が流れています。
愛に正義に、優しさそして寛容さ。
巧みに美しく飾った言葉、美辞麗句。
ここにエゴイズムが入り込む危険性がある。「美しき行為」は美徳にならないこともある、こんな理解でよろしいでしょうか。
「インクルーシブ教育」における1人ひとりの健常児、そして1人ひとりの障害児。まさに1人ひとりに寄り添いながら、1人ひとりの確認をとりながら、愛と正義と寛容の教育を貫いていかなければなりません。
「教師や親の愛と正義にはときにエゴが入り込む危険性がある」
塾教師歴30年以上のわたしが断言できるテーゼです。
今週は中学の運動会が多かった。お泊り学習もありました。
天気に恵まれて幸いです。
ただ、こわいのは行事の後のコロナとインフルの感染です。
体調には十分にご留意ください。
本日もお読みいただきありがとうございます。
墨田区 東向島 学習塾 ウエル学院平野進学教室からのお便りでした。
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