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「発達障害」の可能性 8.8%~わたしが気になること(その2)~

2023.06.08 塾長ブログ

墨田区 東向島 学習塾 ウエル学院平野進学教室からのお便りです。

 

 

2・3年周期で軽い咳が数週間も続きます。時期は決まってゴールデンウイークあけ。熱はでないのですが、話をすると軽めの咳が。友人でもある主治医に聞いても、「おとなの喘息かな」くらいにあしらわれてしまいます。コロナ、インフル、風邪、胃腸炎がはやっているそうです。お気を付けください。

 

前回に続き、「発達障害」の調査結果に関して気になったことを3点にしぼって述べさせていただきます。

 

1点目は、障害があるにもかかわらず、配慮や特別の指導を受けられていないという現状を前回のブログで指摘しました。それによる「2次的な障害」への危惧を問題視しました。

 

 

2点目は、「発達障害もどき」についてふれます。いまや児童だけでなく大人も発達障害の相談や診断に殺到しているそうです。そのことにまつわる問題が「発達障害もどき」ということばです。診断名ではありません。

 

 

「ガンもどき」はわたしがファンであった故近藤誠先生の概念(ガン放置療法で有名)ですが、「発達障害もどき」は小児脳科学者・成田奈緒子先生(文教大学教授)の“警告のことば”です。すなわち、増えつづけているのは発達障害の子ではなくて、「発達障害もどき」だと(『「発達障害」と間違われる子どもたち』青春新書インテリジェンス 2023年)。

 

 

発達障害の兆候が見られるが、生活改善(早寝、早起き、十分な睡眠、三食しっかり食べるなど)によって行動がすっかり改まった、こうした事例が報告されています。

 

「発達障害もどきかもしれないから、診断を受ける前に健康的な生活に切りかえてみてください」、というアドバイスです。「発達障害だと言われたという子どもを見ていて、すべての子が発達障害だと思えません」というのが成田先生の見解です。

 

診断は担当医によって異なる、このことを肝に銘じておかなければなりませんね。

1人の専門医の診断やコーディネーターの助言によって、通常学級から特別支援学級へと、またその逆の場合もあって、慎重の上にも慎重を期さなければなりません。ひとつの「診断」が児童の今後を占ってしまう。それこそ、セカンド、サードのオピニオンが必要になってくるのではないでしょうか。

 

「発達障害もどき」は「ガンもどき」同様に、わたしたちに冷静さと学習の機会を与えてくれる重要な概念だとわたしは思っています。親側の子ども観、人間観も同時に問われてきます。

 

 

3点目にうつりましょう。障害のある児童とない児童が一緒に学ぶ「インクルーシブ教育」について。

昨年の9月、国連の障害者権利委員会は日本政府に対して、「日本の特別支援教育は、障害のある子を分離している。インクルーシブ教育の実現を」という内容の勧告を受けました。日本の障害児教育は、優れた実績がたくさんあるものの、世界の潮流から遅れを取っているということは、これまで何度か指摘されてきました。

 

先のG7諸国と比較しても、このインクルーシブ教育だけでなく、LGBTQ法案、死刑制度など、日本は先進諸国の人権思想を受け入れるまでのレベルに達していない、あるいは受け入れる思想的な寛容性に欠けている、こんな気がしてなりません。

 

インクルーシブ教育とは、人種、国籍、言語、性差、貧困、宗教、障害などのあるなしに関わらず、すべての子どもが同じ場所で、共に学び合うこと。

 

わたしの子どもが通っていた幼稚園は、このインクルーシブ教育の先端をいっていました。寝たきりで、酸素吸入を必要とする子まで時に来園するのです。もちろん発達障害の子もクラスに何名かいます。園児たちは、障害の有無などどこ吹く風といった様子で、遊び尽くしていました。感動的な場面にも遭遇します。

 

わたしも親のボラ募集の際は、すすんで参加させていただきました。あの狭いスペースの幼稚園バスに乗って遠足に行きます。つぼみさん(障害児)の保護者会の日は、先生の代わりにいっしょに遊びます。子どもの幼稚園時代の最高の思い出のひとつになっています。

 

先生方のいろいろなご苦労も見てきました。それとともに、健常児の親からのクレームとまではいかないにしても、園のやり方に疑問を投げかけるそうした場面にもでくわしました。

 

言うは易く、行うは難し、なのがこのインクルーシブ教育。

その教育的な効果は絶大で、健常児だけでなく障害児にもたくさんのメリットが報告されています。

 

ただし、教員の質、人員、教育観、教育原理、子育て論等々、特別な素養と学習(いわゆる「合理的配慮」の質や程度、その理論)が指導者側に求められてきます。かつて、「学力世界1の国」として知られたフィンランド、教師はみな1年間以上にわたる教育実習を経て、さらに大学院卒が教院免許の条件です。

 

残念ながら、日本ではこのインクルーシブ教育は、大いに実践してもらいたいと願う一方で、実践のための条件整備が整っていませんね。国連の勧告を受けた文科大臣は、「変えるつもりはない」と未来志向には触れぬ談話を残すばかりでした。悲しいですね。教育の貧困そのものです。

 

次回につづきます。

生徒が早々と自習にやって来ました。来週から中間テストが始まる中学があります。特に中学3年生は内申を上げなければなりません。

 

本日もお読みいただきありがとうございます。

 

 

墨田区 東向島 学習塾 ウエル学院平野進学教室からのお便りでした。

 

 

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